中国、AI生成コンテンツの表示義務化を9月から実施 – 世界で最も厳しいAI規制の一つ
中国は9月1日から、AI(人工知能)が生成したすべての文章、画像、音声、動画などのコンテンツに「AI生成」であることを示す識別表示を義務化しました。規制の対象には、テキスト、画像、音声、動画、仮想シーンなど、ありとあらゆるAI生成コンテンツが含まれています。
この新制度は「人工知能生成・合成コンテンツラベル表示弁法」に基づき、国家インターネット情報弁公室など4部門が共同で策定しました。AIの健全な発展を促しつつ、ディープフェイクや偽情報の拡散を防ぎ、国民の権益や公共の利益を保護することを目的としています。すでに百度(バイドゥ)やテンセント、アリババなど多くの中国企業が国産生成AIを展開しており、AIコンテンツの利用が広がる一方、これらの技術が悪用される懸念も高まっていました。
規制の特徴
AI生成コンテンツには、閲覧者が一目で分かる「明示的ラベル」と、データに埋め込まれる「暗黙的ラベル(メタデータ)」の両方が義務付けられます。WeChatやDouyin(チャイナ版TikTok)、小紅書(Xiaohongshu)など主要SNSも、投稿されたAIコンテンツに自動でラベルを付与するシステムを導入しました。ユーザーはAIコンテンツを発信する際、必ず申告することが求められます。
プラットフォーム事業者は違反投稿を見つけた場合、即座に削除またはラベル付与を行う権限を持ちます。規制への違反やラベル改ざんには罰則が設けられ、罰金やアカウント停止などの措置が取られます。
背景と海外との比較
中国はAI産業のイノベーションとともに、偽情報や詐欺被害の防止にも力を入れてきました。日本のデジタル庁やEU、米国もAIコンテンツの規制を検討していますが、中国の新法は世界でも有数の厳しい内容とされています。
また、今回の規制は単なる”ラベル表示”にとどまらず、AI生成コンテンツが社会的に与える影響や、リスクへの社会全体での監視・管理の一環として位置づけられています。
今後の展望
AI技術の発展が著しい一方、社会への影響や悪用リスクへの対応が急務となっています。中国が導入した新法は、AI倫理や情報の透明性を重視する世界の流れにも大きな影響を与えそうです。今後は、規制の実効性や技術的な課題点、AIイノベーションとのバランスが注目されます。
今回の新法は、AIコンテンツがこれまで以上に社会に浸透する中で、各国のAI規制やプラットフォーム運営にどのような指針を与えるのでしょうか。デジタル時代の”コンテンツの真実性”を問う動きが、今後さらに加速することが予想されます。