Alibabaは2026年9月22日、中国・杭州で開いた年次の技術イベント「Apsara Conference(雲棲大会)」で、次世代のAIモデル「Qwen 4」を現在学習中だと発表しました。あわせて、その先のモデルの規模の見通しや、新しい画像生成モデルの予定、自社開発のAIチップ、データセンターの拡大計画など、AIに関する幅広い計画を示しました。ただし、Qwen 4そのものはまだ公開されておらず、公開日や料金も発表されていません。
Qwen 4は「学習中」
Alibabaの発表資料によると、次世代モデルのQwen 4は現在、学習(AIに大量のデータを読ませて能力を身につけさせる工程)の段階にあります。
台湾のIT系メディアKoCPCによると、イベントではQwenの大規模言語モデルの開発を率いる劉大一恒(Liu Dayiheng)氏が登壇し、Qwen 4のシリーズとして「Max」「Plus」「Flash」「27B」の4つの名前を初めて示しました。報道によると、それぞれの位置づけは次のとおりです。
- Max:性能の上限を目指す最上位のモデル
- PlusとFlash:性能と効率、費用のバランスを取ったモデル
- 27B:手元の環境に置いて動かす用途を想定した、270億パラメーターのモデル
講演のスライドは「Coming Soon(近日登場)」という表示にとどまり、どのモデルも公開日、料金、ダウンロードできる重み(学習済みのデータ)は示されていません。27Bのモデルがオープンウェイト(モデルの重みを公開し、誰でもダウンロードして動かせる形)で公開されるかどうかも、現時点では明らかになっていません。
Qwen 4.5とQwen 5は5兆〜10兆パラメーターへ
Alibabaは、Qwen 4に続くQwen 4.5とQwen 5のシリーズについて、パラメーター(AIの規模を表す数値)を5兆〜10兆まで増やす見通しを示しました。ロイター通信によると、現在の最上位モデル「Qwen3.8-Max」は2.4兆パラメーターで、その2〜4倍の規模になります。AlibabaグループのCEO、呉泳銘(Eddie Wu)氏は、より複雑で長時間にわたる作業をこなせるようにすることが目的だと説明しています。こちらも時期は示されていない、将来の計画です。
また、Alibabaは、AIが自らの改良を繰り返す取り組みの成果も紹介しました。発表資料によると、Qwen3.8-Maxを1か月以上にわたって完全に自動で改良させたところ、33回の改良を重ね、AIの性能を比べる第三者の評価サイト「Artificial Analysis」の指標が40から45に上がったとしています。
発表されたその他のモデル
Qwen 4以外にも、音声や画像に関するモデルが発表されました。発表資料に記載された主なものは次のとおりです。
- Qwen3.8-LiveTranslate:話しながら訳す同時通訳のモデル。訳が出るまでの遅れを約2.8秒から約2.3秒に、20%近く短くしたとしています
- Qwen-Audio-3.1-TTS-Next:台本から、映画のような音の場面全体を作れるとする音声生成モデル。オーディオブックや映画、ポッドキャスト、ゲームでの利用を想定しています
- Qwen-Image 3.1:デザイン制作やネット通販のマーケティング向けに最適化した画像生成モデル。年内の提供を予定しており、まだ公開されていません
- Qwen Intelligence:スマートフォンのメーカー向けに、複数のアプリをまたぐ作業をこなすAIエージェントの仕組みを提供するサービス
Alibaba Cloudのモデル提供サービス「Model Studio」では、イベントに前後して、文章・画像・音声・動画を理解するモデル「Qwen3.8-Omni-Flash」(9月17日)や、その音声と映像でリアルタイムにやり取りできる版(9月21日)が追加されています。
新AIチップとデータセンター
Alibabaの半導体設計部門T-Headは、AIの学習と推論に使う新しいチップ「Zhenwu V900(真武V900)」を発表しました。前の世代のZhenwu M890の3倍の性能で、216GBのメモリーを備えます。量産と販売の開始は2027年1〜3月の予定です。最大50万枚のチップをつなぐ大規模なサーバー構成にも対応するとしています。
呉氏は、Alibaba Cloudが運営するデータセンターの容量を、2032年までに世界全体で20GW(ギガワット)を超える規模にする目標も示しました。海外では、今後12か月でトルコ、フィンランド、オランダに初めてクラウドの拠点を開設する計画です。ロイター通信によると、一連の発表を受けて、香港市場でAlibabaの株価は5.1%上昇し、1か月ぶりの高値を付けました。
CoAI編集部の視点
今回の発表の多くは「これから」の計画です。Qwen 4は学習中で、公開日や料金、ライセンスは決まっていません。Qwen 4.5とQwen 5の5兆〜10兆パラメーターという数字も、現時点では目標です。一方で、Qwenの各モデルはAPIやオープンウェイトの形ですでに世界中の開発者に使われており、手元で動かせる27Bのモデルがシリーズに含まれると報じられていることは、自社の環境でAIを動かしたい企業にとって注目点です。27Bのモデルがどのライセンスで公開されるかは、仕事で使えるかどうかを左右するため、公開時に確認しておきたいところです。AIのモデルだけでなく、チップやデータセンターまで自社でそろえるAlibabaの戦略が、改めて鮮明になった発表と言えます。
出典
- Alibaba Cloud's 2026 Apsara Conference: Full-Stack AI Roadmap Along with Global Market Expansion Plan(Alibaba Group)
- Alibaba deepens AI push with new chip, bigger model; shares jump 5%(Khaleej Times/Reuters)
- Qwen4 family revealed for the first time: Max, Flash, and Plus launch simultaneously across three lines, with Qwen4 27B making an appearance(KoCPC)
- Alibaba Puts Qwen4 Family Into Training; Roadmap Points to 5–10T Qwen4.5 and Qwen5(Pandaily)
- Newly released models(Alibaba Cloud Model Studio)