フランスのAI企業Mistral AIは2026年10月6日、新しい大規模言語モデル「Mistral Large 4」のパブリックプレビューを公開しました。社内では「Le Chonk」という愛称で呼ばれています。
発表の概要
公式発表によると、Mistral Large 4は総パラメータ数1兆、1回の処理で使うパラメータ(アクティブパラメータ)は490億の「MoE(Mixture of Experts)」構成のモデルです。テキストと画像を扱えるマルチモーダルモデルで、すばやく答えるモードと、じっくり考えて推論するモードの両方を1つのモデルで備えています。
学習には、Mistralが欧州で運用する自社データセンターのNVIDIA Grace Blackwell GPU 3,800基が使われました。EUの公用語すべてを含む160以上の言語に対応するとしています。
主な数字
Mistralが公表した主な数値は次のとおりです。
- ソフトウェア開発の評価「DeepSWE v1.1」で61.7%
- エージェント型コーディングの評価「Terminal-Bench 4.0」で28.3%
- 業務自動化の評価「AutomationBench」で59.9%
- セキュリティ競技の課題40問を集めた「Cybench」で93%
- API料金は100万トークンあたり入力1.36ドル、出力4.18ドル
ベンチマークの数値はいずれもMistral自身の発表によるものです。Mistralは、米国や欧州で開発されたどのオープンウェイトモデルよりも大幅に高い性能だとしています。
使える場所と今後の予定
現在は開発者向けの「Mistral Studio」のAPIからプレビュー版として使えます(モデルID:mistral-large-4-0)。モデルの重み(ウェイト)は10月末までに公開する予定で、公開後は誰でもダウンロードして自社のサーバーで動かせるようになります。
Mistralは、プレビュー版はまだ強化学習による調整の途中であり、正式版とは品質が異なる可能性があるとしています。また、サイバーセキュリティ分野の能力が高いことから、セキュリティ企業や公的機関などと協力して検証(レッドチーミング)を進めています。
CoAI編集部の視点
欧州の企業から、自社環境で動かせる高性能なオープンウェイトモデルが登場するのは、データを社外に出したくない企業にとって大きな選択肢になります。ただし、1兆パラメータ規模のモデルを自社で動かすには相当な計算資源が必要です。まずはAPIで性能を試し、月末の重み公開後にライセンス条件や必要な環境を確認するのが現実的でしょう。