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OpenAI、COBOLやFortranなど「情報の少ない言語」のプログラミング性能を強化 新しい評価「MultiLangBench」も公開

OpenAIは2026年10月19日、COBOL、Fortran、Visual Basicのように学習に使える情報が少ないプログラミング言語で、最新モデルの性能が大きく上がったと発表しました。20言語でデータベースを一から作らせる新しい評価「MultiLangBench」をGitHubで公開し、COBOLのプログラムを別の言語に移す評価の結果も示しています。

2026年10月19日約5分で読めます
OpenAI — MultiLangBenchの公式ページのスクリーンショット
OpenAI — MultiLangBench · 出典撮影日:2026年10月20日

画面は撮影時点の公式ページです。記事公開時の画面とは異なる場合があります。画像を選択すると拡大表示できます。

OpenAIは2026年10月19日(日本時間同日21時)、「Advancing coding in low-resource programming languages(低リソースのプログラミング言語でのコーディングを前進させる)」という記事を公開しました。COBOL、Fortran、Visual Basicのような古くからあるプログラミング言語で、最新のAIモデルがプログラムを作ったり、別の言語に移し替えたりする力が大きく上がったという内容です。あわせて、新しい評価の仕組み「MultiLangBench」をGitHubで公開しました。

この記事の数値は、OpenAIの発表を伝えた複数の報道で一致したものと、GitHubで公開された評価の説明にもとづいています。紹介する成績は、いずれもOpenAI自身が測ったものです。

「低リソース言語」とは

AIモデルは、インターネット上などにある大量のプログラムや解説を学んでプログラミングを覚えます。PythonやJavaScriptのように広く使われている言語は手本が多い一方、COBOLやFortranなどは公開されているプログラムや資料が少なく、AIが苦手としてきました。このように学習に使える情報が少ない言語を「低リソース言語」と呼びます。

COBOLは主に事務処理に、Fortranは主に科学技術の計算に使われてきた言語です。報道によると、OpenAIは記事の中で、COBOLがオンラインバンキングの40%以上、対面のカード決済の80%、ATMの取引の95%を支えていると紹介し、Fortranは天気予報や原子炉の安全解析に使われていると説明しています。

新しい評価「MultiLangBench」

MultiLangBenchは、AIモデルに「SQLite」というデータベースのソフトを、20の言語で一から作らせる評価です。SQLiteは広く使われている小さなデータベースのソフトです。

GitHubで公開された説明によると、仕組みは次のとおりです。

  • モデルにはSQLite 3.40.1の説明書だけを渡し、同じように動くプログラムを指定の言語で書かせる
  • インターネットには接続させず、環境からはSQLiteを取り除いておく
  • SQLite自身の試験から作った約2万4,000件のテストで、本物のSQLiteと同じ結果になるかを確かめる(通常は、そのうち272件を使う)
  • 指定と違う言語で書いたり、複数の言語を混ぜたりした場合は不合格

対象の言語は、C、C#、C++、COBOL、Common Lisp、Fortran、Go、Java、JavaScript、Lean、OCaml、PHP、PowerShell、Python、Ruby、Rust、Scala、Swift、Visual Basic、Zigの20個です。テストと環境は、Apache License 2.0で公開されています。

OpenAIが示した成績

報道によると、OpenAIが公表した主な結果は次のとおりです。数字は、テストに合格した割合です。

  • GPT-6 Astra:20言語の平均87.4%。20言語のうち19言語で83%を超えた
  • GPT-6 Luna:平均40.3%。1回あたりの費用は約0.77ドル
  • GPT-5.6 Sol:平均26.8%。1回あたりの費用は3.48ドル

言語ごとに見ると、GPT-6 Astraの成績は、GPT-5.6 Solと比べて次のように上がったと報じられています。

  • COBOL:10.9%から72.1%
  • Fortran:21.4%から83.5%
  • OCaml:25.6%から85.8%
  • Visual Basic:27.5%から89.4%

GPT-6 Astraでも、COBOLは20言語の中で最も低い成績でした。

COBOLのプログラムを別の言語に移す評価

OpenAIは、もう一つの評価として「COBOL移行評価」の結果も示しました。COBOLで書かれたプログラムを、C++、Java、Kotlin、Python、Rustのいずれかに書き直し、元のプログラムと1バイトも違わない同じ出力になるかを確かめるものです。古いシステムを新しい言語に移す「移行」の作業で、これまでと同じ動きを保てるかを測っています。

報道によると、結果は次のとおりです。

  • GPT-6.1 Sol(考える量を少なくした設定):86.6%
  • GPT-6.1 Sol(考える量を多くした設定):97.9%
  • GPT-5.6 Sol(考える量を少なくした設定):5.4%

この評価に使ったプログラムの数や内容、評価の仕組みを公開するかどうかは、CoAI編集部が確認できた範囲では分かりませんでした。

使える場所と注意点

報道では、改善はChatGPTのほか、APIで使える最新のモデルに反映されているとされています。新しい製品の発表ではなく、既存のモデルの力が上がったことを示す発表です。Codexでの扱いや、日本語での案内については、確認できた範囲では特に案内はありません。

OpenAIは、実際のシステムの移行では、専門家による確認と、そのシステムの業務のルールや、ほかのシステムとのつながりに合わせたテストが今も必要だと注意しています。

日本の古いシステムとの関係

日本でも、古い基幹システム(会社の中心となる業務を支えるシステム)の扱いは長く課題になっています。経済産業省は2018年のDXレポートで、古いシステムが足かせとなってDX(デジタル技術による変革)が進まない問題を「2025年の崖」と呼んで警鐘を鳴らしました。2025年5月に経済産業省がまとめた「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」では、調査に答えた企業の61%が今も古いシステム(レガシーシステム)を持っており、熟練した技術者が離れてITの担い手が減り続けていると指摘しています。

メインフレーム(大型の業務用コンピューター)で動く古いシステムには、COBOLで書かれたものが多くあります。AIがこうした言語を正しく読み書きできるようになれば、仕様書が残っていない古いプログラムの理解や、新しい言語への移行の手助けになる可能性があります。

CoAI編集部の視点

これまでAIのプログラミングの評価は、PythonやJavaScriptなど広く使われる言語が中心でした。今回のOpenAIの発表は、銀行や行政などで今も動くCOBOLやFortranに目を向け、評価の仕組みも公開した点に意味があります。テストを誰でも使えるようにしたことで、ほかの会社のモデルとも同じ条件で比べやすくなります。

一方で、示された数字はOpenAI自身が測ったもので、COBOL移行評価の中身は確認できていません。お金や個人の情報を扱うシステムでは、わずかな動きの違いが大きな問題につながります。AIを移行に使う場合でも、OpenAI自身が言うように、専門家の確認と十分なテストを前提にするのがよいでしょう。

出典

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