AlibabaのAI開発チーム「Qwen(通義千問)」は2026年9月20日、画像生成AI「Qwen-Image-2.1」を公開しました。文章から画像を作る機能と、画像を編集する機能を1つのモデルにまとめたもので、モデルの重み(学習済みのデータ)をHugging FaceとModelScopeで配布しています。GPUを搭載した自分の環境にダウンロードして動かせる、いわゆる「オープンウェイト」のモデルです。
発表の概要
Qwen-Image-2.1は、画像を作る部分の規模が70億パラメーター(7B)と、比較的小さく抑えられているのが特徴です。Qwenチームは、生成の品質と処理の効率、使い道の広さのバランスを取ったモデルだと説明しています。
公開と同時に、画像生成のライブラリ「Diffusers」、画像生成の作業をノードでつなぐツール「ComfyUI」、高速に動かすための推論ソフト「vLLM-Omni」「SGLang」「LightX2V」が、初日から対応しました。手元の環境やサーバーにすぐ組み込めるよう、周辺のツールがそろった状態での公開です。
Qwenチームは今回の主な改善点として、次の4つを挙げています。
- 軽く効率のよい構成で、少ない計算量でも高い画質を出せる
- 背景が透明な画像の生成と、通常の生成・編集を1つのモデルで行える
- 最大10枚の参照画像を使った、幅広い編集
- 質感や文字の描写、人物の写真の光の表現の向上
透明な画像の生成と、幅広い編集
最も目を引くのは、背景が透明な画像(RGBA画像。色の情報に加えて透明度の情報を持つ画像)を、文章の指示から直接作れる点です。これまでは、画像を作ったあとに背景を切り抜く作業が別に必要でしたが、Qwen-Image-2.1では最初から透明な背景で出力できます。ステッカーやアイコン、商品画像の素材づくりなどで手間を減らせます。
透明な画像の中の要素を編集したり、写真から人物や物だけを切り出したりすることも、同じモデルでできるとしています。ComfyUIでは、文章からの画像生成と画像の編集のひな形(ワークフロー)が用意されました。
編集では、最大10枚の参照画像を同時に使えます。Qwenチームは、6人の顔写真をもとに集合写真を作る例を示しています。人物や商品の見た目を保ったまま編集できるとしています。
画像の一部だけを直したいときは、丸で囲む、色を塗って示す、別に用意したマスク(編集する範囲を示す画像)を渡す、といった方法で範囲を指定できます。
解像度と性能
出力の解像度は、正方形(1:1)で2048×2048ピクセルです。縦長から横長まで7種類の縦横比に対応し、16:9では2752×1536ピクセルで出力できます。
性能について、オランダのAIコンサルティング会社DataNorthによると、Qwenが独自に作った評価の仕組み「Qwen-Image-Bench」で、Qwen-Image-2.1は60.28点でした。GoogleのNano Banana 2.0(59.82点)をわずかに上回り、重みを公開していないQwenの上位モデル「Qwen Image 3 Pro」(62.36点)には届かず、首位のOpenAIの「GPT Image 2.5 Sunburst」(67.01点)とは差がある結果です。いずれもQwen自身による評価で、第三者による検証ではありません。また、生成にかかる時間や必要なGPUのメモリー量などの目安は、公式には示されていません。
動かし方とライセンス
Diffusersから読み込んで使うのが基本で、Qwenが示すサンプルコードでは、画像を作る工程(ステップ)を40ステップとしています。GPUのメモリーが足りない場合に、処理の一部をCPU側に移して動かす方法も案内されています。Hugging Face上にはお試し用のデモも公開されています。
注意したいのはライセンスです。Qwen-Image-2.1は「Qwen Research License」で配布されており、使えるのは研究や評価の目的に限られます。商用で使うには、Qwenに申請して別に商用ライセンスを取得する必要があります。初代のQwen-Imageは商用利用もできるApache 2.0ライセンスで公開されていたため、これまでQwenの画像モデルを仕事で使ってきた人は、条件が変わった点に注意が必要です。
なお、Qwenチームはその後10月9日に、8ステップで画像を作れる高速版「Qwen-Image-2.1-Turbo」の重みを公開し、Alibaba Cloudの「Model Studio」では、Qwen-Image-2.1のProとTurboをAPIで呼び出せるようになっています。
CoAI編集部の視点
Qwen-Image-2.1は、透明な背景の画像を直接作れることと、複数の参照画像を使った編集を、手元で動かせる7Bのモデルにまとめた点が新しいところです。デザインの素材づくりやECサイトの商品画像など、切り抜きや合成の手間が多い作業では便利に使える可能性があります。一方で、ライセンスが研究用に変わったため、試すのは自由でも、そのまま仕事の制作に使えるわけではありません。商用で使いたい場合は、Qwenとの個別の契約か、Model StudioのAPIを使う方法を検討することになります。中国のAI企業はオープンウェイトのモデルの公開を続けていますが、ライセンスの条件はモデルごとに確認する必要があることを示す例と言えます。