ByteDanceは2026年9月、画像の生成と編集を行うAIモデル「Seedream 5.0 Flash」を公開しました。Seedream 5.0シリーズの高速・低価格版で、上位版の「Seedream 5.0 Pro」と同じ機能を持ちながら、より速く、より安く画像を作れるのが特徴です。中国向けのクラウド「火山引擎(Volcano Engine)」の開発者向けサービス「火山方舟」では、9月の新モデルとして案内されています。
発表の概要
火山引擎の資料によると、Seedream 5.0 Flash(モデルID「doubao-seedream-5-0-flash-260915」)は、精度の高い画像生成に向けたモデルで、「機能はSeedream 5.0 Proとまったく同じ」とされています(後述のfastモードを除く)。そのうえで、画像を作る速さが速く、料金が安いため、待ち時間や費用を抑えたい業務に向くと説明しています。
Seedream 5.0シリーズには現在、高画質向けのPro、高速・低価格のFlash、以前からあるLiteの3つがあります。何度も修正を重ねる広告の画像や商品画像、大量のデザイン案づくりなど、1枚ごとの最高画質よりも速さや数が大事な場面での利用が想定されます。
できること
Seedream 5.0 Flashで使える主な機能は次のとおりです。
- 文章からの画像生成と、1枚または複数の参照画像をもとにした画像生成
- 座標や囲み枠、矢印で場所を指定して、画像の一部だけを直す「インタラクティブ編集」
- 1枚の画像を、背景にあたる画像1枚と最大16枚の層(レイヤー)に分ける「レイヤー分割」
- 背景が透明な画像を1枚入力したとき、透明な背景のまま編集・生成する機能
- 画像の中に、指定した言語で文字を描く機能
レイヤー分割では、それぞれの層が背景の透けたPNG画像として出力され、層の重なりの順番や位置、名前、説明も一緒に返されます。完成した画像の中の文字やロゴ、人物だけを入れ替えるといった作業が、デザインツールのように行いやすくなります。
指示文(プロンプト)は中国語と英語のほか、日本語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語など、資料に挙げられた多くの言語に対応しています。
参照画像の枚数と解像度
参照画像は1回の依頼で最大10枚まで渡せます。Liteの最大14枚より少なく、Proと同じです。出力の解像度は1K、1.5K、2Kの3段階から選び、標準は2Kです。たとえば16:9の横長の画像は、2Kで2816×1584ピクセルになります。4Kでの出力には対応していません(Liteは4Kに対応)。
また、Proは指示文の最適化を簡略にして速く生成する「fast」モードを選べますが、Flashはもともと速さを重視したモデルのため、このモードには対応していません。
料金と使える場所
火山引擎での料金は、出力した画像1枚あたり0.12元です。参照として入力する画像には料金がかかりません。通常の画像生成では、Proが1枚0.30元(1.5K以下)または0.60元(1.5K超)のため、Flashはその半額以下になります。ただし、画像をレイヤーに分ける場合のProの料金は0.15元(1.5K以下)で、Flashとの差は小さくなります。
中国以外の地域向けには、ByteDanceの法人向けクラウド「BytePlus」のAI開発サービス「ModelArk」で、「Dola Seedream 5.0 flash」という名前で提供されています(シンガポールのリージョン。日本から使えるかどうかの案内はありません)。BytePlusでの料金は、公式の資料では確認できていません。ComfyUI Wikiによると、画像生成のツール「ComfyUI」では9月24日、ByteDanceのモデルを呼び出す機能にSeedream 5.0 Flashを追加する変更が取り込まれました。
アプリでは、IT之家によると、ByteDanceの仕事向けAI「豆包工作」が10月9日、新しい画像モデルとしてSeedream 5.0 Flashに対応しました。画像・動画の制作サービス「即夢(海外版はDreamina)」や動画編集アプリの「CapCut」で使えるかどうかについて、ByteDanceからの案内は確認できていません。日本向けの提供についての案内もありません。
CoAI編集部の視点
Seedream 5.0 Flashは、上位版とほぼ同じ機能のまま、通常の画像生成の料金を半分以下に抑えたモデルです。特に、場所を指定した部分的な編集や画像のレイヤー分割は、生成した画像をそのまま使うのではなく、あとから直して仕上げる仕事の流れに合っています。Googleの「Nano Banana 2.1」やTencentの「Hy Image 3.5 preview」など、画像生成AIでは値下げと編集機能の強化が同時に進んでいます。開発者は、2Kまでの解像度で足りるか、参照画像は10枚で足りるかを確かめたうえで、ProとFlashを使い分けるとよいでしょう。