中国のAI企業StepFun(阶跃星辰)は2026年10月15日、旗艦モデル「Step 5 Preview」の重み(学習済みのモデルのデータ)を公開しました。9月20日の発表時に「10月15日に公開する」と予告していたとおりの公開で、誰でもダウンロードして自分の環境で動かせるようになりました。発表の時点では明らかになっていなかったライセンスの条件も、今回あわせて示されました。
Step 5 Previewとは
Step 5 Previewは、プログラミングや専門的な知識労働、金融の分析など、AIが道具を使いながら自分で作業を進める「エージェント」の用途に向けたモデルです。全体のパラメーターは6000億(600B)で、1回の処理で使うのはそのうち270億(27B)だけという「MoE」の仕組みを採用しています。一度に最大100万トークンを読み込めます。
StepFunによると、AIモデルを比較している評価サイト「Artificial Analysis」の総合指標で44点を記録しています。モデルの特徴や評価、APIの料金については、9月の発表時の記事で詳しく紹介しています。
公開された重みの形式
重みは、Hugging FaceとModelScopeで公開されています。形式は次の3つです。
- BF16:元の精度の形式
- FP8:データを小さくして、必要なメモリを減らした形式
- NVFP4:NVIDIAの新しいGPU向けに、さらに小さくした形式(Hugging Faceのみ)
出力は文章です。入力については、モデルカードの仕様表では文章と画像となっている一方、冒頭の説明やStepFunのAPI版の資料では動画にも対応するとしており、記述が分かれています。
ライセンスの条件
ライセンスは独自の「StepFun Model License 1.0」です。オープンソースで広く使われるApache 2.0に近い形で、使用料なしで利用、改変、再配布ができ、特許の利用許諾も含まれています。主な条件は次のとおりです。
- モデルを使った製品やサービスが、ある月に1億人を超える利用者を持つか、その月の売上が2,000万ドルを超えた場合は、「Powered by StepFun AI」と表示する
- モデルを機器に組み込んで販売する場合は、売上の規模にかかわらず別の商用契約が必要
- モデルをAPIなどで他社に提供する事業(MaaS)を営み、関連会社を含めた全体の売上が連続する12か月で2,000万ドルを超える企業は、商用の利用に別の契約が必要
多くの企業や個人にとっては、自社のサービスや社内の業務で自由に使える内容です。
動かすのに必要な環境
モデルカードによると、必要なNVIDIAのGPUは形式によって次のように変わります。
- FP8:B300を4枚、またはH200を8枚積んだサーバー1台
- BF16:B300を8枚積んだサーバー1台、またはH200を16枚使って2台に分ける
NVFP4の形式の動作環境は、モデルカードには書かれていません。推論(モデルを動かして答えを出す処理)のソフトは、vLLMとTransformersに対応し、SGLangはFP8の形式だけに対応しています。個人のパソコンで動かせる規模ではありません。
CoAI編集部の視点
Step 5 Previewは、APIで先に提供し、約1か月後に予告どおり重みを公開しました。ライセンスは表示や大規模な提供に条件があるものの、多くの利用者にとっては商用でも使いやすい内容です。同じ日にはMetaも大型の公開モデル「Muse Spark Open」を出しており、自社の環境で動かせる大型モデルの選択肢が一度に増えました。
ただし、性能の数値の多くはStepFun自身の発表によるもので、重みを公開したモデルとしての第三者の評価はこれから出てきます。導入を考える場合は、ライセンスの条文を確認したうえで、APIで先に試して自分の作業に合うかを確かめるのがよいでしょう。