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StepFun、エージェント向けの旗艦モデル「Step 5 Preview」を公開 総6000億パラメーター、重みは10月15日に公開予定

中国のAI企業StepFun(阶跃星辰)は2026年9月20日、新しい旗艦モデル「Step 5 Preview」を発表し、同日からAPIなどで使えるようにしました。プログラミングや専門的な知識労働、金融の分析などを、AIが自分で道具を使いながら進める用途に向けたモデルで、100万トークンの長い入力を扱えます。モデルの重みは10月15日に公開するとしています。

2026年9月20日約5分で読めます

中国のAI企業StepFun(阶跃星辰)は2026年9月20日、新しい旗艦モデル「Step 5 Preview」を発表しました。AIが道具を使いながら自分で作業を進める「エージェント」の用途に向けたモデルで、プログラミング、専門的な知識労働、金融の分野を得意とするとしています。発表と同時に、StepFunのAPIや自社のサービスで使えるようになりました。モデルの重みは10月15日に公開する予定です。

StepFunとは

StepFunは2023年4月に設立された、上海に本社を置くAIのスタートアップです。日本ではまだなじみが薄いものの、中国では大規模言語モデル(文章を理解して生成するAI)を自社で開発する有力な企業のひとつとして知られています。文章のモデルのほか、音声の認識や合成、音楽の生成を行う「StepAudio」シリーズなども手がけています。

StepFunはこれまでも、2026年2月に「Step 3.5 Flash」、5月に「Step 3.7 Flash」を発表し、モデルの重みをHugging Faceで公開してきました。重みの公開(オープンウェイト)とは、学習済みのモデルのデータを配布し、誰でもダウンロードして自分の環境で動かせるようにすることです。Step 5 Previewは、これらに続く最上位のモデルという位置づけです。

モデルの特徴

StepFunの発表によると、Step 5 Previewは「MoE(Mixture of Experts)」という仕組みを採用しています。全体のパラメーターは6000億(600B)ですが、1回の処理で使うのはそのうち270億(27B)だけです。全体は大きくても、処理のたびに一部の「専門家」の部分だけを動かすため、規模の割に速く安く動かせます。

開発者向けの資料によると、主な仕様は次のとおりです。

  • 一度に読み込める量(コンテキスト):100万トークン
  • 1回の出力:最大64K(約6万4,000)トークン
  • 入力:文章、画像、動画(画像は1回に最大60枚)
  • 出力:文章
  • 考える深さ:low、medium、highの3段階から選べる
  • 道具の呼び出し、決まった形式での出力、キャッシュ(同じ入力の再利用で費用を抑える仕組み)に対応

StepFunは、ソフトウェアの開発、長い文書の整理、調査と分析、画像や動画の内容の読み取りといった使い方を挙げています。なお、検索やプログラムの実行などの道具は、モデルを組み込んだアプリの側が用意するもので、モデル自体がパソコンや外部のサービスに直接アクセスするわけではないと説明しています。

性能の評価

StepFunによると、AIモデルを比較している第三者の評価サイト「Artificial Analysis」の総合指標(Intelligence Index)で、Step 5 Previewは44点を記録し、「オープンソースのモデルとして世界の上位3位」に入ったとしています。ただし重みは10月15日の公開予定で、Artificial Analysisは現時点では重みを公開していないモデルとして扱っています。1つの作業にかかる費用は、AnthropicのClaude Opus 5の8分の1だとStepFunは主張しています。

StepFunが公表した自社の評価では、AIエージェントの総合的な試験「Agents' Last Exam」のうちコマンド操作の部分、金融の投資調査を測る「FrontierFinance」、分野をまたいだ調査を測る「DRACO」で、OpenAIのGPT-6 AstraかClaude Opus 5に次ぐ成績となり、ほかの公開モデルを上回ったとしています。

プログラミングについては、社内外の専門家による評価で、参加者の約7割が「中〜高程度の複雑さのプログラミングの作業を自力で解決できる」と判断したとしています。対応する範囲も広く、ウェブ画面やデータを図にする表示の制作、3D制作ソフトのBlenderを使った立体の素材づくり、さらに開発資料と利用者の許可があれば、プログラムで動かせる機器の開発やデバッグ(不具合の修正)までこなせると説明しています。

StepFunは長時間の作業の例も示しています。NVIDIA H100を1枚使い、GPUで動くプログラムを24時間かけて自動で改良させる実験(各モデル4回実行し、最もよい結果を採用)では、約22時間で処理の速さが508 TFLOPSに達し、Claude Opus 5の493 TFLOPSを上回ったとしています。一方で、自社で作ったプログラミングの評価では、最も難しく時間のかかる作業では最上位のモデルとの差が残るとも説明しています。これらはいずれもStepFun自身の評価です。

使える場所と料金

Step 5 Previewは、中国向けと海外向けの開発者向けサイト(platform.stepfun.com、platform.stepfun.ai)のAPIや、ブラウザで試せる「Studio」で使えます。月額制の「Step Plan」でも利用でき、Claude Codeなどの開発ツールからも呼び出せます。

海外向けのAPIの料金は、100万トークンあたり入力1.00ドル、キャッシュが効いた入力0.10ドル、出力2.70ドルです(2026年10月12日時点)。出力の料金には、モデルが考える過程の分も含まれます。中国向けでは、キャッシュが効いた入力の料金を北京時間10月14日から100万トークンあたり0.35元から0.70元に引き上げると発表しました。それより前に従量課金のAPIを使ったことのある利用者には、元の料金が引き続き適用されます。月額制の「Step Plan」は値上げの対象外です。

モデルの重みは10月15日に公開するとしています。ただし、ライセンスの種類や、重みを公開する場所は、10月12日時点では発表されていません。日本語への対応や、日本向けの提供についても特に案内はありません。

CoAI編集部の視点

Step 5 Previewは、APIで先に使えるようにし、少し遅れて重みも公開するという順番で出てきたモデルです。全体は6000億パラメーターと大きいものの、1回に動かすのは270億だけなので、重みが公開されれば、大きなGPUのサーバーを持つ企業が自社の環境で動かす選択肢になります。

一方で、評価の数字の多くはStepFun自身が測ったものです。発表の2日後には、XiaomiのMiMo-V2.6-Proが同じArtificial Analysisの指標で46点を記録しており、オープンなモデルの上位争いは短い間隔で動いています(Step 5 Previewは、重みの公開後に同じ枠で比べられることになります)。実際に使うかどうかは、10月15日に示されるライセンスの条件も確かめたうえで、自分の作業で試して判断するのがよいでしょう。

出典

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