Tencentの混元(Hunyuan)チームは2026年9月22日、画像の生成と編集を行う新しいAIモデル「Hy Image 3.5 preview」(混元図像3.5プレビュー版)を発表しました。プロの制作現場での利用を想定したモデルで、文章から画像を作る「文生図」、画像をもとに別の画像を作る「図生図」、会話を重ねて修正していく編集に対応しています。名前に「preview」とあるとおり、正式版の前の先行公開版という位置づけです。
発表の概要
Hy Image 3.5 previewは、前の世代「Hy Image 3.0」の後継です。Tencentの公式発表によると、1回の依頼で複数の参照画像を渡すことができ、さまざまな縦横比で出力できます。また、それまでのやり取りの内容を踏まえて、会話を続けながら同じ画像を少しずつ直していく「マルチターン編集」に対応しました。
これまでの画像生成AIでは、一度作った画像を部分的に直したい場合、指示を一から書き直す必要がある場面も多くありました。マルチターン編集では「背景だけ夜にして」「文字をもう少し大きく」といった追加の指示を重ねていけるため、デザインの修正作業に近い使い方ができます。
参照画像の枚数と解像度
参照画像の枚数と出力の解像度は、資料によって書き方が異なります。9月22日の公式発表では、参照画像は1回に最大5枚、出力は最大2Kとされていました。
一方、開発者向けのTencent CloudのAPI資料では、モデルID「hy-image-v3.5-preview」の仕様として、参照画像は会話全体で合計20枚まで(1回あたりの上限とは別)、出力は最大4096×4096ピクセル(4K)と記載されています。入力できる長さは最大10万トークン(AIが文章を処理する単位)で、前の世代のHy Image 3.0(参照画像は最大3枚、出力は最大で1024×1024ピクセル相当の面積)から大きく広がりました。このほか、プロンプト(指示文)をAIが考えながら書き直す機能や、外部の検索結果を参照して描く機能、画像に透かし文字を入れる機能も用意されています。
アプリから使う場合とAPIから使う場合で、使える枚数や解像度が異なる可能性があります。使う前に、それぞれの画面や資料で確認するとよいでしょう。
Tencent自身の評価
Tencentは、社内の数百人のプロのデザイナーが、どの画像のほうが良いかを見比べる「GSB」と呼ばれる比較の評価を行ったとしています。その結果、Hy Image 3.5 previewは前の世代のHy Image 3.0より30%向上し、ByteDanceの「Seedream 5.0 Pro」と同等、Googleの「Nano Banana Pro」とAlibabaの「Qwen-Image-3.0 Pro」をわずかに上回ったと説明しています。いずれもTencent自身の評価で、外部による検証は示されていません。
また、AIアシスタント「元宝(Yuanbao)」で公開の約2か月前から少しずつ試験運用したところ、画像生成の依頼の数が全体で50%以上増えたとしています。
使えるアプリとAPIの料金
Hy Image 3.5 previewは、次のTencentのアプリやサービスに組み込まれています。
- AIアシスタントの元宝(Yuanbao)
- 映像制作向けのWorkRally
- ドラマやゲームのコンテンツ制作向けのOnSolo
- 制作支援のAIエージェントのMiora
- 仕事向けのAIエージェントのWorkBuddy
- AIの知識管理ツールのima
- Tencent Cloudの動画処理サービス(MPSとVOD)
元宝では人物写真の編集などが無料で使え、Miora、WorkRally、OnSoloでは2週間の期間限定で無料で試せるとしています。
開発者向けには、Tencent CloudのAPIで提供されています。料金は2Kの画像1枚あたり0.15元で、海外向けの国際版では1枚0.024ドルです。出力した画像だけに料金がかかり、参照画像などの入力には料金がかかりません。日本での提供や日本語での利用について、Tencentからの案内はありません。
株価の反応と競争の状況
Bloombergによると、発表を受けてTencentの株価は香港市場で7%以上上昇しました。Investing.comは、日本時間の正午ごろの時点で6.6%高の458.4香港ドルだったと伝えています。
発表は、Alibabaが年次イベント「Apsara Conference(雲棲大会)」を開いた日と重なりました。Bloombergは、Tencentが画像生成AIでByteDanceやAlibabaに追いつこうとしていると報じています。
CoAI編集部の視点
Hy Image 3.5 previewの特徴は、モデルの性能そのものよりも、元宝やimaのような身近なアプリから、映像やゲームの制作ツールまで、Tencentの多くの製品に幅広く組み込んだ点にあります。2K画像1枚0.024ドルという料金も、GoogleのNano Banana 2.1(2K画像で約0.050ドル)の半分ほどの水準です。一方、性能の比較はTencent自身の評価のみで、参照画像の枚数や解像度も資料によって書き方が分かれています。中国の画像生成AIは、ByteDanceのSeedreamやAlibabaのQwen-Imageと競争が激しくなっており、日本から使う場合は、APIの提供地域や利用規約を確かめたうえで試すのがよいでしょう。
出典
- Hy Image3.5 preview发布!腾讯多产品限时免费体验(腾讯新闻)
- 大模型服务平台 TokenHub Hy 生图调用指南(腾讯云)
- 腾讯混元 Hy Image3.5 preview 发布:支持文生图与多轮对话创作,已上线元宝、ima 等应用(IT之家)
- Tencent Releases AI Image Model to Catch ByteDance, Alibaba(Bloomberg)
- Tencent shares jump after unveiling new AI image model(Investing.com)
- Gemini Developer API pricing(Google AI for Developers)