スマートフォンや家電、電気自動車で知られる中国のXiaomi(シャオミ)は2026年9月22日、AIモデル「MiMo-V2.6」シリーズを発表しました。上位版の「MiMo-V2.6-Pro」と、軽くて安い「MiMo-V2.6-Flash」の2つを中心に、モデルの重みをHugging FaceとModelScopeで公開しています。重みの公開(オープンウェイト)とは、学習済みのモデルのデータを配布し、誰でもダウンロードして自分の環境で動かせるようにすることです。ライセンスはMITで、商用でも使えます。
Xiaomi MiMoとは
「Xiaomi MiMo」は、Xiaomiが自社で開発している大規模言語モデル(文章を理解して生成するAI)のシリーズ名であり、その開発チームの名前でもあります。日本ではXiaomiはスマートフォンのメーカーとして知られていますが、AIモデルの開発にも力を入れており、2026年4月には前の世代のMiMo-V2.5とMiMo-V2.5-Proを公開していました。
MiMoのモデルは、開発者向けのAPI(ほかのアプリから呼び出す仕組み)のほか、チャット画面で試せる「Xiaomi MiMo Studio」、パソコン向けの「Xiaomi MiMo Desktop」、プログラミング支援の「Xiaomi MiMo Code」などから使えます。今回の公開にあわせて、XiaomiはMiMo-V2.5とMiMo-V2.5-ProのAPIへのリクエストを、10月14日から自動的にV2.6シリーズへ切り替え、10月21日には古いモデルIDを使えなくすると案内しています。
ProとFlashの違い
MiMo-V2.6はどちらも「MoE(Mixture of Experts)」という仕組みのモデルです。全体は非常に大きいものの、1回の処理では一部の「専門家」の部分だけを動かすため、規模の割に速く安く動かせます。Hugging Faceのモデルの説明によると、規模は次のとおりです。
- MiMo-V2.6-Pro:全体で1兆200億パラメーター、1回の処理で使うのは420億パラメーター
- MiMo-V2.6-Flash:全体で3090億パラメーター、1回の処理で使うのは150億パラメーター
どちらも文章、画像、動画、音声の4種類をひとつのモデルで理解できる「オムニモーダル」のモデルで、出力は文章です。一度に読み込める量(コンテキスト)は100万トークン、1回の出力は最大12万8,000トークンです。長いプログラムのコード一式や、AIエージェント(AIが自分で道具を使って作業を進める仕組み)の長い作業記録を扱えるように設計したとしています。
Xiaomiは、Proを複雑なプロジェクトや長時間の作業、サイバーセキュリティ、研究向けの最上位モデルと位置づけています。Flashは、何度も呼び出す業務や大量の処理に向けた、費用と性能のバランスを重視したモデルです。このほか、Proを最大20倍速く出力するAPI専用の「MiMo-V2.6-Pro-UltraSpeed」も用意しました。研究用には、AlibabaのQwen3.5-9BをMiMoが作ったデータで追加学習した、90億パラメーターの小型モデル「MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9B」も公開しています。
性能の評価
AIモデルを比較している第三者の評価サイト「Artificial Analysis」の総合指標(Intelligence Index)で、MiMo-V2.6-Proは46点を記録し、重みを公開しているモデルの中で首位になりました。Xiaomiは自社のサイトで、小数点以下まで含めて46.32点と示し、「現時点で世界最強のオープンソースモデル」としています。AIの話題を扱う米国のニュースレター「The Batch」は、前の世代のMiMo-V2.5-Proの26点から20点上がったと伝えています。
Xiaomiが公表した自社の評価では、プログラミングを自動で進める作業や、コンピューターの画面操作、ターミナル(文字でパソコンを操作する画面)での作業などの多くのテストで、AnthropicのClaude Opus 5やOpenAIのGPT-5.6 Solに近い点数を示しました。たとえば、ターミナルでの作業を測る「Terminal Bench 2.1」ではProが89.9、Flashが87.6でした。一方、より新しい「Terminal Bench 4.0」ではProが34.9で、Claude Opus 5の49.0との差が大きく、プログラミングの一部のテストや、サイバー攻撃の手法を扱うテストでも、これらの最上位のモデルとの差が残っています。いずれもXiaomi自身が測った数字です。
また、The Batchによると、Xiaomiは強化学習などの仕上げの工程にかかった費用も明らかにしており、Proが約260万ドル、Flashが約90万ドルでした。
公開の内容と料金
Hugging Faceでは、強化学習(試行錯誤の結果から学ばせる方法)を終えた「RL」版などのモデルの重みと、技術レポートが公開されています。Xiaomiは、重みに加えて強化学習の環境や学習用のコードも公開したとしています。MITライセンスは制限の少ないライセンスで、商用でも無料で使えます。
ただし、手元で動かすのは簡単ではありません。Proの起動例は、推奨されているSGLangではGPUを積んだサーバー2台の構成、vLLMの例でもGPU 8枚が前提で、個人のパソコンで動かせる規模ではありません。多くの人にとっては、XiaomiのAPIや、OpenRouterなどの中継サービスから使うのが現実的です。
XiaomiのAPIの料金は、100万トークンあたり次のとおりです(2026年10月12日時点)。
- Pro:入力0.435ドル(キャッシュが効いた場合0.0036ドル)、出力0.87ドル
- Flash:入力0.14ドル(同0.0028ドル)、出力0.28ドル
- Pro-UltraSpeed:入力4.35ドル(同0.036ドル)、出力8.7ドル
APIはOpenAIとAnthropicのどちらの呼び出し方にも対応しています。定額制の「Token Plan」も用意されており、Claude CodeやClineなどの開発ツールからそのまま使えるとしています。日本語への対応状況や、日本向けの提供については特に案内されていません。
CoAI編集部の視点
これまで重みを公開した高性能なモデルといえば、中国ではDeepSeekやQwen、Kimiなどが代表的でした。そこに、スマートフォンのメーカーであるXiaomiが、外部の評価で首位となるモデルを出してきた点が今回の大きなニュースです。文章だけでなく画像や動画、音声もまとめて理解でき、MITライセンスで商用にも使えるため、企業が自社の環境でAIを動かしたい場合の有力な選択肢になります。
一方で、評価の数字の多くはXiaomi自身が測ったものです。Proを自前で動かすには大がかりなGPUの環境が必要で、日本語での使い勝手もまだ十分に確かめられていません。まずはAPIやMiMo Studioで、自分の仕事の題材を使って試してみるのがよいでしょう。
出典
- MiMo-V2.6-Pro-RL(Hugging Face)
- MiMo-V2.6-Flash-RL(Hugging Face)
- MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9B(Hugging Face)
- Model Release(Xiaomi MiMo API Platform)
- MiMo-V2.6-Pro(Xiaomi MiMo API Platform)
- MiMo-V2.6-Flash(Xiaomi MiMo API Platform)
- MiMo-V2.6-Pro-UltraSpeed(Xiaomi MiMo API Platform)
- MiMo-V2.6-Pro Intelligence, Performance & Price Analysis(Artificial Analysis)
- An Unexpected Open Weights Leader(The Batch)