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Z.ai、法律業務向けのAIモデル「GLM-Legal」を発表 契約書レビューや証拠分析をこなすエージェント型

中国のZ.ai(智譜、Zhipu AI)は2026年10月12日、法律業務に特化したAIモデル「GLM-Legal」を発表しました。軽量モデルGLM-5.3-Flashをもとに法律分野の追加学習を行ったもので、法律事務の評価「Harvey LAB」で全項目合格率19.2%を記録したとしています。

2026年10月12日約4分で読めます

中国のAI企業Z.ai(智譜、Zhipu AI)は2026年10月12日、法律業務に特化したAIモデル「GLM-Legal」を発表しました。契約書のレビュー、証拠の分析、法規制への対応の調査など、実際の法律業務の流れに沿って作業を進める「エージェント型」のモデルです。現在は試験提供(ベータ版)で、法律事務所や企業の法務部門などから利用の申し込みを受け付けています。

GLM-Legalとは

Z.aiによると、GLM-Legalは同社の軽量モデル「GLM-5.3-Flash」をもとに、法律分野に絞った追加学習を行ったモデルです。もとになったGLM-5.3-Flashは、全体で3200億個のパラメーター(モデルの規模を示す数値)を持ち、1回の処理で実際に使うのはそのうち180億個という、計算を節約する仕組みのモデルです。開発者向けの資料によると、最大100万トークンの長い文章を一度に扱えます。

Z.aiは、AIの役割が「1回の指示でコードを書く」ことから、専門職と一緒に仕事を進めることへ広がりつつあると説明しています。法律業務は、ばらばらの資料から要点を読み取り、法律に当てはめて筋の通った分析を組み立て、決められた形式で仕上げる必要があるため、専門業務向けのAIを鍛える題材として適しているとしています。

評価の結果

Z.aiが公表した主な結果は次のとおりです。

  • Harvey LAB:全項目合格率19.2%。もとになったGLM-5.3-Flash(6.7%)から12.5ポイント向上。比較に挙げたKimi K3は12.9%、Claude Fable 5は11.3%、GPT-6 Astraは5.4%
  • LegalBench:契約書や合併関連の書類、判決文の読み取りで86.2%。Z.aiは主要な非公開モデルと同等としていますが、Claude Fable 5(88.6%)やGPT-6 Astra(87.1%)をやや下回ります
  • PLawBench:中国の法律相談、事例の分析、書面の作成で77.3%。Claude Fable 5(77.7%)とほぼ同じ水準

Harvey LABは、法律AIの企業Harveyが公開した評価で、法律事務所や企業の法務部門の実際の仕事に近い課題を24の業務分野にわたって出題します。採点は、すべての評価項目を満たした場合だけ合格とする厳しい方式で、部分点はありません。

Z.aiによると、Harvey LABとLegalBenchの結果は、AIの評価会社Vals AIが独立に測定したものです。PLawBenchはZ.ai自身の評価です。Vals AIの順位表では、GLM-Legalの Harvey LABの成績は79モデル中7位でした。

学習の方法

Z.aiは、学習を次の3つの段階で進めたと説明しています。

  • 中間学習:質の高い法律の文書を大量に学ばせ、法律の概念や条文、解釈の考え方を身につけさせる
  • 事後学習:数万件の現実的な法律業務の環境で強化学習(試行錯誤で上達させる学習)を行い、分析の計画から成果物の作成までを練習させる
  • 実務からのフィードバック:法律の専門家が「重要な論点を漏らしていないか」「引用は正確か」「そのまま使えるか」といった基準で出力を評価し、その結果を次の学習に生かす

事後学習では、モデルと、モデルに道具や資料を渡して作業を進めさせる仕組み(ハーネス)を一緒に改良していったとしています。

想定する使い方

Z.aiは、発表の中で次の3つの活用例を示しています。

  • 契約書のレビュー:取引先を変える依頼者のために、ソフトウェア開発の契約書の解約条項を見直し、具体的な修正案を出す
  • 証拠の分析:プロジェクトをめぐる紛争で40件の文書を読み、進み具合の報告の食い違いを、出典の文書を示しながら整理する
  • 規制対応の調査:シンガポール、マレーシア、インドネシアで公開するWebサイトについて、個人情報保護の対応を優先度つきの一覧にまとめる

契約書の例では、同社のデスクトップ向けエージェント「AutoClaw」が、Wordの文書に変更履歴とコメントの形で修正を書き込むとしています。

使い方と提供状況

GLM-Legalは、Z.aiのWebサイトの申し込みページからAPIの利用を申請する形で提供されています。対象として、法律事務所、リーガルテック企業、企業の法務部門、個人の実務家を挙げています。AutoClawでも近く使えるようになる予定です。Z.aiは料金を公表していません。

英国の法律テック専門メディアArtificial Lawyerによると、現時点ではモデルの重み(中身のデータ)は公開されていません。日本での提供や、日本の法律への対応については発表されていません。

CoAI編集部の視点

GLM-Legalは、AIモデルの開発会社が、汎用モデルの追加機能ではなく、法律専用のモデルを自ら出した例です。軽量なモデルを特定の分野で鍛えて大型モデルに迫るという方針は、費用を抑えたい企業にとって魅力があります。一方で、評価の一部は第三者が測ったものの、主要なモデルとの比較はZ.aiの発表によるもので、料金や日本の法律への対応も分かっていません。法律業務でAIを使う場合は、機密情報の扱いや、最終的に人が内容を確認する体制づくりが欠かせません。

出典

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