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OpenAI、5年ぶりにオープンソースAI推論モデルを発表(gpt-oss-120b、gpt-oss-20b)

OpenAI、5年ぶりにオープンソースAI推論モデルを発表(gpt-oss-120b、gpt-oss-20b)

2025年8月6日 CoAI編集部 リリース

OpenAIは8月5日(現地時間)、同社のo-seriesと同様の能力を持つ2つのオープンウェイトAI推論モデル「gpt-oss-120b」と「gpt-oss-20b」の提供開始を発表しました。これは、2020年のGPT-2以来、5年以上ぶりとなる同社初のオープンモデルリリースとなります。

2つのモデルサイズで幅広いニーズに対応

画像:OpenAI HP

今回発表されたモデルは、用途に応じて選択できる2つのサイズで提供されます。より大規模で高性能な「gpt-oss-120b」は単一のNvidia GPUで動作し、軽量版の「gpt-oss-20b」は16GBのメモリを搭載した一般的なノートパソコンでも実行可能です。

両モデルとも開発者プラットフォーム「Hugging Face」から無料でダウンロードでき、同社は複数のベンチマークにおいて「最先端」の性能を持つと説明しています。

競争力のあるベンチマーク性能

OpenAIが公表したベンチマーク結果によると、コーディングテスト「Codeforces」において、gpt-oss-120bは2622点、gpt-oss-20bは2516点を記録し、DeepSeekのR1を上回る性能を示しました。一方で、同社の最新モデルであるo3やo4-miniには及ばない結果となっています。

ただし、これらのオープンモデルはOpenAIの最新推論モデルと比較して幻覚(ハルシネーション)の発生率が高く、PersonQAベンチマークでは、gpt-oss-120bで49%、gpt-oss-20bで53%の質問に対して幻覚が発生したと報告されています。

中国企業との競争激化が背景

今回のオープンモデル発表の背景には、DeepSeek、Alibaba(Qwen)、Moonshot AI(Kimi)など中国のAIラボが開発した高性能なオープンモデルとの競争激化があります。これまでオープンAI分野を主導してきたMetaのLlamaAIモデルが昨年後退する中、中国企業の存在感が増していました。

OpenAIのサム・アルトマンCEOは1月に、オープンソース技術に関して同社が「歴史の間違った側にいた」と発言していました。また、トランプ政権も7月に米国のAI開発者に対し、アメリカの価値観に沿ったAIの世界的普及を促進するため、より多くの技術をオープンソース化するよう求めていました。

技術的特徴とライセンス

両モデルはMixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、効率的な動作を実現しています。gpt-oss-120bは1170億の総パラメータを持ちながら、トークンあたり51億パラメータのみをアクティブ化することで効率化を図っています。

モデルは最も寛容とされるApache 2.0ライセンスの下で提供されており、企業が商用利用する際にOpenAIへの支払いや許可取得は不要です。ただし、完全オープンソースとは異なり、訓練データの公開は行われません。

安全性評価を経て正式リリース

OpenAIは当初、これらのオープンモデルのリリースを数回延期していましたが、その理由として安全性への懸念があったことを明かしています。同社は悪意のある行為者がモデルを悪用してサイバー攻撃や生物・化学兵器の製造に利用する可能性について調査を実施しました。

最終的に、第三者評価機関による検証の結果、これらのオープンモデルが生物学的能力を僅かに向上させる可能性はあるものの、同社の「高能力」危険閾値には達しないことが確認されました。

アルトマンCEOは声明で「2015年の創設時から、OpenAIの使命は全人類に利益をもたらすAGI(汎用人工知能)を確保することです。その目標に向けて、世界が民主的価値観に基づき、米国で作られ、すべての人に無料で提供され、広く利益をもたらすオープンAIスタックの上に構築されることを嬉しく思います」とコメントしています。

使用方法

CoAI編集部

AI分野の専門ライター