AI検索パープレキシティ、新収益分配制度で提携メディアに63億円規模還元を発表
米国のAI検索サービス「パープレキシティ(Perplexity)」は2025年8月25日、提携するメディアや報道機関に対して新たな収益分配制度の導入を発表しました。同社のAI検索やアシスタントサービスがニュース記事などを利用した場合、その収益の80%をコンテンツ発行元に還元する仕組みで、分配原資には4,250万ドル(約63億円)を確保しています。
仕組みの詳細
パープレキシティのAIは、ネット上に公開されたニュースや記事を読解・要約し、ユーザーの質問に即座に回答するサービスを提供しています。この際、提携メディアの記事が直接閲覧された場合や、AIの回答生成で記事が引用・活用された場合に収益が分配されます。分配の原資は新サブスクリプションサービス「Comet Plus」の収益で、月額5ドルの課金ユーザーが利用しています。パープレキシティはこの収益の8割をメディアに分配すると明言しています。
初期の分配プールは約63億円規模ですが、今後サービスが拡大するにつれて増える見込みです。
収益分配の対象と方式
- Perplexity経由で出版社サイトを直接閲覧
- コンテンツがAI検索の回答として引用
- AIアシスタントがタスクの一環で出版社サイトを閲覧
既にTIMEやFortuneなど複数のメディアが参加しており、月額5ドルの「Comet Plus」収益の80%がパブリッシャー(出版社等)に還元される形です。
背景と経緯
パープレキシティは高精度なAI検索サービスを展開し評価されている一方、記事やコンテンツを利用する「ただ乗り」への批判も根強く、国内外の主要メディアが著作権侵害訴訟を提起するなど、AI時代の新しいビジネスモデルが求められていました。
今回の収益分配制度は、こうした批判や訴訟を受け、AIと報道機関の新たな共存モデルを提示するものと位置付けられています。
今後の展望
パープレキシティは「AI時代のための新しいビジネスモデル」と位置付けており、今後はより多くのメディアとの提携拡大、分配プールの拡充を目指すとしています。しかし、訴訟は依然進行中で、分配対象となるメディアの範囲や詳細な分配基準などの課題も残る状況です。
まとめ
AI検索サービス「パープレキシティ」は、コンテンツ発行元への新たな収益分配制度を導入し、AIと報道機関が共存する新時代の仕組みの先陣を切りました。分配原資は63億円規模からスタートし、今後さらに拡大する見通しです。AIが今後も質の高いコンテンツを活用しながらメディアと協調していくため、今回の制度が一つのモデルケースとなるか、業界の注目が集まっています。