ElevenLabs(イレブンラボ)は、テキストを音声に変換する音声合成(Text to Speech)を中心に、文字起こし、ボイスクローン、吹き替え、効果音や音楽の生成などを提供するAI音声プラットフォームです。この記事では、ElevenLabsの公式サイト、ヘルプセンター、公式ドキュメントを2026年10月4日(UTC)に確認した内容をもとに、機能、料金、商用利用の条件、日本語対応の状況を整理します。
ElevenLabsとは
公式サイトでは、サービスを大きく3つの領域に分けて紹介しています。
- ElevenCreative:音声、音楽、効果音、画像・動画などを作るクリエイター向けのWebアプリ
- ElevenAgents:電話やチャットで応対する会話型AIエージェントの構築・運用基盤
- ElevenAPI:音声合成や文字起こしなどを自社のアプリに組み込むための開発者向けAPI
この記事では、個人や小規模チームが最初に検討することの多いElevenCreativeのサブスクリプションを中心に扱い、APIの料金体系は概要のみ補足します。
主な機能
公式料金ページと公式ドキュメントのモデル一覧で確認できた主な機能は次のとおりです。
- Text to Speech:テキストを音声に変換する機能。最新モデル「Eleven v4」(公式サイトでは2026年9月の公開と表示)のほか、Eleven v3、Multilingual v2、低遅延のFlash v2.5などのモデルがある
- Studio:オーディオブックやポッドキャストなど、長尺の音声・動画プロジェクトを作る機能
- ボイスクローン:短い音声から作るInstant Voice Cloningと、長時間の音声で専用モデルを学習させるProfessional Voice Cloning
- Voice Design:文章で説明した特徴から新しい声を作る機能
- Speech to Text(文字起こし)、Dubbing(吹き替え)、Voice Changer、Voice Isolator(ノイズ除去)、Sound Effects、Music
1回に生成できる文字数には上限があります。ヘルプセンターではWeb画面の上限を有料プラン5,000文字、無料プラン2,500文字としていますが、Eleven v4の紹介ページでは最大10,000文字とされています。Web画面でv4を使う場合にどちらが適用されるかは、公式情報からは判断できませんでした。
料金とクレジットの考え方
課金単位は「クレジット」
ElevenCreativeのプランでは、毎月付与される「クレジット」を各機能で消費します。料金ページによると、クレジットは全製品で共通です。そのため、ある機能で使えば、ほかの機能に使える分が減ります。消費量の目安として、Text to Speechは1文字あたり1クレジット、Speech to Textは1分あたり330クレジット、Musicは1分あたり900クレジット、Sound Effectsは1回あたり200クレジットなどと示されています(いずれも公式の概算値)。
ヘルプセンターによると、文字数には句読点やスペース、音声タグも含まれます。クレジットはダウンロード時ではなく生成のたびに消費されますが、ドキュメントによると、Web版で同じテキスト・声・モデルのまま2時間以内に作り直す場合など、条件を満たせば無料で再生成できます。
プランごとの価格と月間クレジット
2026年10月4日時点の料金ページ(月払いの表示)では、主なプランは次のとおりです。価格は米ドル建てで、税金は含まれていません。
- Free:0ドル、月10,000クレジット
- Starter:月額6ドル、月30,000クレジット。商用ライセンスやInstant Voice Cloningなどが加わる
- Creator:月額22ドル、月121,000クレジット。Professional Voice Cloningなどが加わる
- Pro:月額99ドル、月600,000クレジット
- Scale:月額299ドル、月1,800,000クレジット、3シート
- Business:月額990ドル、月6,000,000クレジット、10シート
- Enterprise:要問い合わせ
通常価格・初月割引・年払い・キャンペーンの違い
確認時点の料金ページには、通常価格とは別に期間限定の表示がありました。いずれも確認時点の表示で、変更される可能性があります。
- 初月割引:Starterは初月1ドル(通常6ドル、「10月18日まで」と表示)、Creatorは初月11ドル(通常22ドル)。割引の対象は初月のみと表示されています。Creatorの初月割引の終了日は、確認したページ上では明示されていませんでした
- 年払い:料金ページのFAQでは、年払いの価格は「月額×10か月分」で、2か月分が無料になる計算と説明されています。年払い時の月あたり換算は、Starterが5ドル、Creatorが18.33ドル、Proが82.50ドルです。初月割引と年払いを併用できるかは確認できませんでした
- Eleven v4のキャンペーン:サイト上部には「Creator以上のプランで10月12日までクレジット3倍」という告知がありました。料金ページの本文では「2週間」の施策として、「Creator以上のプランで、v4のText to Speechに使ったクレジットのうち、月間クレジットの最大2倍分を残高から差し引かない(Webとモバイルアプリのみ)」と説明されており、本文に終了日の記載はありません。いずれも期間限定の施策で、上記の月間クレジット数には含まれていません
繰り越しと不足時の扱い
料金ページのFAQによると、有料プランの未使用クレジットは最大2か月分まで繰り越せますが、ダウングレードや解約をすると請求期間の終了時に失効します。無料プランに繰り越しはありません。請求のドキュメントでは、新規のサブスクリプションでは不足時に前払い型のPay As You Goクレジット(有効期限12か月)を購入できるとされています。
なお、API利用はElevenAPIの料金ページが別にあり、FAQではクレジットではなく米ドルで課金されると説明されています(例:Text to Speechの多言語モデルは1,000文字あたり0.08ドル)。
商用利用の条件
ヘルプセンターの説明と規約類の記載を整理します。利用規約(EEA・スイス・英国以外の居住者向け)では、無料ユーザーは非商用目的に限り、有料ユーザーは商用目的で利用できると定められています。
- 無料プラン:商用ライセンスは含まれず、商用目的では使えません。無料プランまたは未ログインの状態で作った音声を公開する場合は、タイトルに「elevenlabs.io」か「11.ai」を入れて、ElevenLabsで作成したことを示す必要があります(Eleven Musicで作った音楽は「Eleven Music」と表記)。Prohibited Use Policyでも、無料ユーザーによる広告などの商用利用は禁止事項に含まれています
- 有料プラン:すべての有料プランに商用ライセンスが含まれます。ただし、アルファ、ベータ、プレビューなどと位置づけられた機能(Beta Services)で作ったコンテンツは、商用目的や本番環境では使えません。現時点でどの機能が該当するかは特定できませんでした
- 有料期間中に作った音声:サブスクリプションの終了後も、商用利用を続けられるとされています。一方、有料期間の前後に無料プランで作った音声は商用利用できません
- 製品ごとの追加条件:Music、Sound Effects、Studio、Dubbing v2などには、個別のService-Specific Termsがあります。たとえば、Sound Effectsで作った音を単体の素材集として販売・配布することは、Prohibited Use Policyで禁止されています。また、Sound Effects Termsでは、作った効果音を第三者(ほかのElevenLabsユーザーを含む)へサブライセンスすることを、製品ページの「Disable」機能で停止できるとされています
編集部の注記として、収益化した動画、広告、社外に公開する企業動画などは、商用利用に当たる可能性が高いと考えられます。無料プランで制作することは避け、利用前に最新の規約を確認してください。
ボイスクローンの条件
- Instant Voice Cloning:請求のドキュメントによると、ボイスクローンはStarter以上で利用できます。ドキュメントでは、1〜2分程度のノイズのない音声が推奨されています。作成時には、その声を複製する権利と同意があることを確認する手順があります
- Professional Voice Cloning:Creator以上で利用できます。ヘルプセンターによると、作成できる数(枠)はCreatorとProが1、Scaleが3、Businessが10です。推奨される音声は30〜180分程度で(Instant Voice CloningのドキュメントのFAQによる)、学習には通常3〜6時間かかるとされています
- 本人の声に限定:Professional Voice Cloningで作れるのは自分の声だけで、本人の同意があっても他人の声は作れません。声の持ち主であることを確認する認証が必要です。他人の声を使いたい場合は、本人が自分のアカウントで作成し、共有する方法が案内されています
- 禁止事項:同意や法的な権利なく他人の声を意図的に再現することや、AIで生成した声であることを偽る目的での利用は、Prohibited Use Policyで禁止されています
なお、利用規約では、入力・生成したコンテンツ(声を含む)をサービスの提供・改善や新しいサービス・製品の開発に使うライセンスをElevenLabsに与えるとされ、このライセンスは永続的で取り消せないと定められています。学習への利用は「Data use」設定でオプトアウトできますが、それ以前の利用には及びません。一方、Eleven v4の紹介ページは、送信した原稿などを同意なしに学習に使わないとしており、規約との関係は判断できませんでした。
日本語での利用について
ここでは「画面(UI)の表示言語」と「読み上げる言語」を分けて考えます。
読み上げについては、公式ドキュメントのモデル一覧で、日本語がEleven v4、v3、Multilingual v2、Flash v2.5の対応言語に含まれています(Flash v2は英語のみ)。ヘルプセンターによると、Web版では入力テキストから言語を自動判定するため、1回の入力に複数言語を混ぜないことが推奨され、APIではlanguage_codeで言語を指定できます。ただしv4の紹介ページの画面例には「Language override」という項目があり、Web版の現状は最新の画面で確認してください。
ヘルプセンターでは、言語は入力テキストで、アクセントや発音は声で決まると説明されています。プリセットの音声や生成した音声はいずれも英語の声とされているため、Voice Libraryの言語フィルターで日本語の声を探すか、日本語の録音からクローンを作る方法が案内されています。なおEleven v4のドキュメントは、クローン元と異なる言語でも元の訛りを持ち込まず自然に話すよう設計されているとしています(ベンダーの説明)。
UIについては、公式サイトには日本語版があり、日本語の料金ページも用意されています(価格は英語版と同じ米ドル表示)。一方、ログイン後のアプリ画面を日本語で表示できるかは、今回確認した公式情報からは分かりませんでした(ヘルプセンターは英語版のみ確認)。アプリは英語の画面で操作する前提で検討するのが無難です。
日本語の発音品質や漢字・数字の読み方は、使いたい原稿で試聴して確かめるのが確実です。ヘルプセンターには数字や日付、略語が正しく読まれない場合の解説があります。また、Eleven v4の紹介ページによると、読み方を指定する発音辞書(Pronunciation Dictionary)の機能もあります。
向いている用途・向いていない用途
以下は、公式情報で確認した仕様にもとづく編集部の見立てです。
向いていると考えられるケースは次のとおりです。
- 動画のナレーションやオーディオブックなど、原稿から音声を継続的に作りたいケース
- 同じ声で複数の言語の音声を作りたいケース
- 自分の声のクローンを使い、収録の手間を減らしたいケース
- APIを使い、音声合成をアプリや会話型エージェントに組み込みたいケース
向いていない可能性があるケースは次のとおりです。
- 無料プランのまま、広告や収益化コンテンツに使いたいケース
- タレントや同僚など、他人の声を本人のアカウントを介さずにクローンしたいケース
- アプリ画面の日本語表示を必須とするケース(今回は確認できず)
- 動画の編集作業そのものが主な目的のケース(音声生成とは別に動画編集ツールの検討が必要)
利用例(説明用・未検証)
以下は仕組みを説明するための例で、編集部が実際に制作・動作確認したものではありません。
3分程度の製品紹介動画に日本語のナレーションを付け、社外に公開する場面を考えます。社外公開は商用利用に当たる可能性があるため、Starterなどの有料プランを前提とします。
- 原稿を用意する:数字や固有名詞は読み方が分かれやすいため、必要に応じてかなで書くか、発音辞書を設定する
- 声を選ぶ:Voice Libraryの言語フィルターで日本語の声を探し、自分の原稿で試聴する
- 生成する:段落ごとに生成し、気になる箇所だけを作り直す
- 仕上げる:音声ファイルをダウンロードし、動画編集ツールで映像に合わせる
Text to Speechは1文字あたり1クレジットが目安のため、原稿が1,000文字なら1回の生成でおよそ1,000クレジットを消費する計算です(モデルや経路により異なる場合があります)。作り直しの分のクレジットも見込んでおく必要があります。
他ツールとの選び方
関連ツールには、ボイスオーバー制作用のStudioや音声APIを提供するMurf AIや、文字起こしを編集して動画・音声を編集するAIエディターのDescriptがあります(いずれも各社公式サイトの説明)。この記事では各社の料金などの数値は比較していません。
選ぶ際は、次の観点で比較するとよいでしょう。
- 主な目的は音声の生成か、動画・音声の編集か、API連携か
- 課金の単位(クレジット、生成時間、文字数など)と、毎月必要になる量の見込み
- 無料プランで商用利用できるか、クレジット表記が必要か
- ボイスクローンの条件(本人確認、対応プラン、作成できる数)
- 日本語の読み上げ品質(実際の原稿で試聴して判断)と日本語UIの有無
ElevenLabsの概要は、ElevenLabsの紹介ページでも確認できます。
よくある質問
ElevenLabsは無料で使えますか?
無料プランがあり、毎月10,000クレジットが付与されます。ただし商用利用はできません。また、公開する場合は、タイトルに「elevenlabs.io」か「11.ai」を入れる表記が必要です。
解約後も、有料期間に作った音声を使えますか?
公式ドキュメントでは、有料期間中に作った音声は、サブスクリプションの終了後も商用ライセンスのもとで使えるとされています。ただし、未使用のクレジットは請求期間の終了時に失効します。
確認日と出典
この記事の情報は、2026年10月4日(UTC)に以下の公式ページで確認しました。料金やキャンペーン、仕様は変更される可能性があるため、利用前に最新の情報を確認してください。
- ElevenLabs 公式サイト
- ElevenLabs 料金ページ(ElevenCreative)
- ElevenLabs 料金ページ(日本語版)
- ElevenLabs 料金ページ(ElevenAPI)
- Eleven v4 紹介ページ
- ElevenLabs Docs:モデル一覧
- ElevenLabs Docs:Eleven v4
- ElevenLabs Docs:請求(Billing)
- ElevenLabs Docs:アカウント
- ElevenLabs Docs:Instant Voice Cloning
- ヘルプセンター:生成したコンテンツの公開(商用利用)
- ヘルプセンター:1回に生成できる最大文字数
- ヘルプセンター:文字数の数え方
- ヘルプセンター:対応言語
- ヘルプセンター:AIが話せる言語
- ヘルプセンター:言語とアクセントの選び方
- ヘルプセンター:特定の言語のネイティブの声
- ヘルプセンター:Text to Speechの記事一覧
- ヘルプセンター:Professional Voice Cloneの作成数
- ヘルプセンター:Instant Voice CloningとProfessional Voice Cloningの違い
- ヘルプセンター:他人の声のProfessional Voice Clone
- ElevenLabs Prohibited Use Policy
- ElevenLabs Service-Specific Terms
- ElevenLabs Sound Effects Terms
- ElevenLabs 利用規約(Terms of Service、EEA・スイス・英国以外向け)
- ElevenLabs Beta Services Addendum
- Murf AI 公式サイト
- Descript 公式サイト
