Murf AI(マーフ)は、テキストから人間に近いナレーション音声を作るAI音声生成サービスです。この記事では、Murf AIの公式サイト、ヘルプセンター、利用規約を2026年10月4日(UTC)に確認した内容をもとに、機能、料金の仕組み、商用利用の条件、日本語対応の状況を整理します。
Murf AIとは
Murf AIは、米国のMurf Inc.が提供する音声AIサービスです。2026年10月4日時点の公式サイトでは、大きく次の3つの入り口が案内されています。
- Murf Studio:ブラウザー上で台本を入力し、AI音声のナレーションを作る制作ツール
- Murf Dub(AI吹き替え):既存の動画や音声を別の言語に吹き替えるツール
- Murf API:自社のアプリやボイスエージェントに音声合成を組み込む開発者向けサービス
このほか、法人向けの音声エージェント(Agents)も案内されています。上の3つは、料金の単位や無料枠がそれぞれ別に設定されています。「Murfの料金」と一口に言っても、どの製品の話かを分けて考える必要があります。この記事では、主にナレーション制作に使うStudioを中心に解説します。
主な機能
公式ヘルプセンターで確認できたStudioの主な機能は次のとおりです。
- テキストからの音声生成と、話速・ピッチ・ポーズ・発音・強調などの調整
- 自分の声で読み方の手本を録音し、AI音声の抑揚に反映させる「Say it My Way」(Gen2音声モデルの機能)
- 1つの声で複数の言語を話せる「MultiNative」音声
- 画像・動画・音楽を取り込み、タイムライン上で音声と合わせる機能
- 音声・動画・台本・字幕の書き出し
- Canva、Google スライド、PowerPointとの連携、Windows向けの音声インストーラー
- Studioのプロジェクトを別の言語に翻訳する機能
公式サイトには、発音精度99.38%といった数値や、API向けモデル「Falcon 2」が応答速度・自然さで他社モデルを上回るとする比較結果が掲載されています。いずれもMurf社自身の主張です。
ボイスクローン(特定の人物の声の再現)については、ヘルプセンターで「セルフサービスではなく、現時点ではEnterpriseプランのみで提供」と説明されています。個人や小規模チームが画面上で自由に自分の声を複製できる機能ではない点に注意が必要です。
料金と制限
Studioのプランと料金
2026年10月4日(UTC)に公式料金ページ(murf.ai/pricing)のStudioタブで表示された内容は次のとおりです(米ドル表記)。
- Free:0ドル。音声生成10分、プロジェクト10件、編集者1人。ダウンロード不可、商用利用権なし
- Creator:月払いは月29ドル。年払いは月あたり19ドル相当で、年額228ドル。音声生成は月払いで月2時間、年払いでは年24時間。プロジェクト100件、編集者1人、ダウンロード無制限、商用利用権あり
- Business:月払いは月99ドル。年払いは月あたり66ドル相当で、年額792ドル。音声生成は月払いで月8時間、年払いでは年96時間。文字起こしは月払いで月4時間、年払いでは年48時間。プロジェクト500件、編集者1人、Business License付き
- Enterprise:料金は個別見積もり。音声生成は無制限、プロジェクト数と編集者数は個別設定。放送用途の権利(Full Broadcasting Rights)はアドオンとして表示され、Creator・Businessでは利用不可と表示
年払いの音声生成時間は、料金ページ上で「1年あたり」の量として表示されています。年払いで毎月一定量が付与されるのかどうかは、料金ページの表示からは確認できませんでした。税金や地域による違い、実際の決済画面の金額は確認していないため、契約前に公式料金ページと決済画面で最新の金額を確かめてください。
ヘルプセンターの記事には、Studioのプラン名として「Creator」「Growth」「Enterprise」が登場し、料金ページの「Business」とは名称が一致しません。プラン構成が変わった可能性がありますが、公式な説明は確認できませんでした。ヘルプセンターでは、月払いと年払いの両方があり、上位プランや年払いへのアップグレードは日割り計算になると説明されています。公式トップページのFAQでは、月単位のプランがあり自動更新されると案内されています。利用規約では更新日前に解約すれば以後の請求を避けられるとされ、ヘルプセンターでは更新の少なくとも1日前に解約することが推奨されています。解約は現在の請求期間の終了時に反映され、それまでは有料機能を使えます。
課金の単位は「音声生成時間(VGT)」
Studioでは、生成した音声の長さが「音声生成時間(Voice Generation Time、VGT)」として消費されます。ヘルプセンターの説明の要点は次のとおりです。
- 新しいサブブロック(ブロック内の区切り)を生成したときや、既存のサブブロックのテキストを変更して再生成したときに、そのサブブロック全体の音声の長さ分が消費される
- 同じテキストのまま、声・スタイル・ピッチ・速度・ポーズ・強調・発音・音量などを変える場合は消費されない
- 目安として、英語1,000語の台本で約6分(台本や声、速度で変動する概算値)
日本語の文字数と生成時間の対応は、公式情報では確認できませんでした。日本語台本の場合は、無料トライアルで実際の長さを確かめるのが確実です(編集部注)。
未使用のVGTは、自動更新または一時停止の場合に限り、次の請求期間に1回だけ繰り越されるとヘルプセンターで説明されています。解約した場合や、支払い失敗で更新されなかった場合は、繰り越し分が失われます。
無料トライアルでできること・できないこと
ヘルプセンターによると、新規登録者には自動的に無料トライアルが付与されます。主な条件は次のとおりです。
- 音声生成時間10分、文字起こし10分
- 音声のダウンロードは不可(プロジェクトのプレビュー共有と埋め込みリンクは可能)
- クレジットカードの登録は不要
- 期限の定めはなく、10分を使い切った時点で終了
公式トップページのFAQでも、無料枠には商用ライセンスが含まれず、音声のダウンロードは有料プランのみと説明されています。つまり、無料トライアルは「声や操作感を試すための枠」であり、完成した音声を業務で使うには有料プランが前提になります。
また、利用規約では、購入から24時間以内かつ音声生成時間が10分未満の場合にのみ返金を申請できるとされています。それ以外の支払いは原則として返金されません。
AI吹き替えとAPIは別料金
AI吹き替え(Murf Dub)は、Studioとは別のクレジット制です。ヘルプセンターによると、無料トライアルは200クレジット・透かし入りの書き出し・1プロジェクトまでで、従量課金は1クレジット1米ドル(最低5米ドル)です。自動吹き替えでは、ファイル1分・1言語あたり2クレジットを消費し、長さは30秒単位で切り上げられます。
Murf APIも、Studioのサブスクリプションとは別の料金体系です。ヘルプセンターでは、APIの無料トライアルとして10万文字が案内されています。従量課金の単価は、公式料金ページのAPIタブとヘルプセンターの従量課金の記事で、「Gen 2:1,000文字あたり0.03米ドル」「Falcon(料金ページではFalcon 2):1,000文字あたり0.01米ドル」とされています。料金ページのAPIタブには、ボイスチェンジャー(1分あたり0.1米ドル)と翻訳(1,000文字あたり0.02米ドル)の単価も表示されていました。一方、公式トップページやFalconの紹介ページでは、Falcon 2を「1分あたり0.01米ドル」と分単位で案内しており、単位が一致していません。最低購入額もヘルプセンター内で2米ドルと10米ドルの記載が混在していました。APIを使う場合は、契約前に最新の料金を確認してください。いずれの金額も、Studioのプラン料金とは別物です。
なお、製品別規約(Product-Specific Terms)では、APIとAI吹き替えで前払いしたクレジットは返金されず、購入時に別の定めがない限り購入日から1年で失効するとされています。また、APIの課金対象となる文字数には、スペースや句読点も含まれるとされています。
商用利用の条件
商用利用については、公式料金ページ、ヘルプセンター、利用規約で次のように説明されています。
- 有料プランでStudioを使って作成した音声には商用利用権があり、YouTubeなどで収益化することも可能(ただし、台本がオリジナルで著作権を侵害しないことが前提)
- 無料トライアル(無料枠)には商用ライセンスが含まれない
- 料金ページのFAQでは、Personal Licenseは個人の私的利用や小規模な商用プロジェクト向け、Business Licenseは企業・組織向けで法人利用に推奨とされている。登記済みの事業者にはCreatorよりBusinessが推奨されている。いずれも推奨として書かれたもので、Creatorでの法人利用を禁止する規定として示されたものではない
- テレビ局のネットワークやラジオ局での放送に使う「放送権」は、Enterpriseプランのみ(料金ページでもEnterpriseのアドオンとして表示)
- 有料プランの解約後も、作成済み音声の商用利用権は継続する
- 利用規約上、商用利用権は再販権ではなく、Murfの音声ライブラリを第三者に再販することや、Murfの音声をAIモデルの学習に使うことは禁止
なお、日本語音声の紹介ページでは、有料プランの音声は放送用途を含めて商用利用できるという趣旨の記載がありました(詳細はプランのライセンス条件を確認するよう併記)。一方、ヘルプセンターでは放送権はEnterprise限定とされています。テレビやラジオでの使用を予定している場合は、契約前にMurf社へ確認してください。また、YouTubeなど配信先のAI音声に関するポリシーは変わる可能性があるため、配信先の規約も確認が必要です。
ボイスクローンについては、利用規約で、声の持ち主から書面による明示的な同意を得ることが求められており、同意のない第三者の録音を学習用に提出することは禁止されています。
日本語での利用について
ここでは「画面(UI)の表示言語」と「音声・テキストの入出力」を分けて整理します。
音声の入出力については、ヘルプセンターの対応言語一覧と公式の日本語音声紹介ページで、日本語が対応言語として確認できました。日本語紹介ページには、日本語の台本を入力して音声を生成する手順や、日本語の声の例(Kei、Sakura、Reo、Itsukiなど)が掲載されています。AI吹き替えの対応言語表(元の言語・吹き替え先の2列)にも日本語が含まれています。表の並びからは両方の列に日本語があるように読めますが、編集部が取得した表は列の構造が崩れていたため確定はできませんでした。日本語から他言語へ、または他言語から日本語への吹き替えを予定している場合は、公式ページで確認してください。
対応言語数や音声数は、ページによって「35以上の言語」「33言語」「40以上の言語」「200以上の音声」「300以上の音声」など表記が異なっていました。日本語の音声数も、今回の確認では公式に一貫した数字を確定できませんでした。特定の数字に頼らず、利用したい声があるかを無料トライアルで確認することをおすすめします。日本語の読み上げ品質(アクセントや漢字の読み)も、あわせて試聴で確かめるとよいでしょう。
一方、Studioの画面を日本語で表示できるかどうかは、今回参照した公式情報では確認できませんでした。今回取得したヘルプセンターのページも英語でした。英語の画面で操作する前提で検討するのが無難です。
向いている用途・向いていない用途
以下は、公式情報で確認した仕様にもとづく編集部の見立てです。
向いていると考えられるケースは次のとおりです。
- 社内研修やeラーニング、製品説明動画のナレーションを、台本の修正に合わせて作り直したいケース(声の設定変更ではVGTを消費しない仕組みのため)
- PowerPointやCanvaで作った資料に音声を付けたいケース
- 同じ声で複数の言語版を作りたいケース(MultiNative音声)
- 既存動画の多言語化を、従量課金で小さく試したいケース(AI吹き替え)
向いていない可能性があるケースは次のとおりです。
- 費用をかけずに完成音声をダウンロードして使いたいケース(無料トライアルはダウンロード不可)
- 自分の声のクローンを手軽に作りたい個人(Enterprise限定)
- テレビやラジオでの放送を予定しているが、Enterprise契約を検討していないケース
- 日本語の画面表示を必須とするケース
活用例(説明用・未検証)
以下は仕組みを説明するための例であり、編集部が実際に作成・動作確認したものではありません。
社内の情報セキュリティ研修動画(約5分)に、日本語ナレーションを付ける流れを考えます。
- 無料トライアルで日本語の声をいくつか試聴し、候補を絞る(ダウンロードはできないため、プレビューで判断する)
- 有料プランを契約し、台本を段落ごとのブロックに分けて入力する
- 社内用語や製品名の読み方を発音設定で調整する(同じテキストのままの調整であればVGTは消費されない)
- スライドの画像を取り込み、タイムラインで音声と合わせて動画として書き出す
- 台本を修正した場合は、修正したサブブロックの長さ分だけVGTが追加で消費される
この流れでは、台本を何度も書き換えるほどVGTの消費が増えます。台本を確定させてから生成すると、消費を抑えやすくなります。
ElevenLabsとの選び方
AI音声生成ツールの比較対象の一つに、ElevenLabsがあります。この記事ではElevenLabsの仕様や料金を公式情報で確認していないため、具体的な数値の比較は行いません。選ぶ際は、次の観点で両社の最新の公式情報を見比べるとよいでしょう。
- 課金の単位(生成した音声の長さか、文字数か、クレジットか)と、未使用分の繰り越し条件
- 無料枠で音声をダウンロードできるか、商用利用できるか
- ボイスクローンを自分で作れるか、どのプランから使えるか
- 放送用途やBusiness向けライセンスの扱い
- 使いたい日本語の声があるか、日本語の読み上げ品質に納得できるか
- 日本語UIの有無
- 制作ツールとして使うのか、APIで組み込むのか
Murf AIの概要はMurf AIの紹介ページでも確認できます。
よくある質問
Murf AIは無料で使えますか?
無料トライアル(料金ページではFreeプラン)があり、音声生成時間10分を試せます。ヘルプセンターでは文字起こし10分も含まれると説明されています。ただし、音声のダウンロードはできず、商用ライセンスも含まれません。完成した音声を使うには有料プランが必要です。
有料プランの料金はいくらですか?
2026年10月4日(UTC)時点の公式料金ページでは、Creatorが月払いで月29ドル(年払いは月あたり19ドル相当、年額228ドル)、Businessが月払いで月99ドル(年払いは月あたり66ドル相当、年額792ドル)、Enterpriseは個別見積もりと表示されていました。税金や決済画面の金額は確認していないため、契約前に公式料金ページで最新の金額を確認してください。
声の調整をやり直すたびに時間を消費しますか?
ヘルプセンターによると、同じテキストのまま声やピッチ、速度、発音などを変える場合は消費されません。テキストを追加・修正して再生成すると、そのサブブロック全体の長さ分が消費されます。
解約後も作った音声を商用利用できますか?
ヘルプセンターでは、解約後も作成済み音声の商用利用権は有効と説明されています。ただし、未使用の音声生成時間(繰り越し分を含む)は、解約すると失われます。
日本語で使えますか?
日本語の音声生成には対応しています。画面の日本語表示は、今回の確認では確認できませんでした。
確認日と出典
この記事の情報は、2026年10月4日(UTC)に以下の公式ページで確認しました。料金や仕様は変更される可能性があるため、利用前に最新の情報を確認してください。
- Murf AI 公式サイト
- Murf AI 公式料金ページ
- Murf AI 日本語テキスト読み上げページ
- Murf Falcon 紹介ページ
- Murf AI 利用規約
- Murf AI 製品別規約(Product-Specific Terms)
- Murf AI Legal Hub
- Help Center:Murfの製品
- Help Center:無料トライアルの機能
- Help Center:無料トライアルの期間
- Help Center:音声生成時間(VGT)の仕組み
- Help Center:VGTの有効期限
- Help Center:VGTの繰り越し条件
- Help Center:サブスクリプションのアップグレード
- Help Center:サブスクリプションの解約
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