n8n(エヌエイトエヌ)は、複数のWebサービスやAPIをつないで業務を自動化するワークフロー自動化ツールです。この記事では、n8nの公式サイトと公式ドキュメントを2026年10月4日(UTC)に確認した内容をもとに、機能、料金、制限、向き不向きを整理します。
n8nとは
n8nは、「トリガー」(何をきっかけに動くか)と「ノード」(何を処理するか)をキャンバス上でつなぎ、ワークフローを組み立てるツールです。提供形態は大きく分けて、n8n社が運営するクラウド版と、自社サーバーなどで動かす自己ホスト版の2つがあります。
公式料金ページでは、すべてのプランでユーザー数とワークフロー数が無制限、すべての連携(インテグレーション)を利用可能とされています。
主な機能
公式料金ページとドキュメントで確認できた主な機能は次のとおりです。
- 各種サービスとの連携ノード、およびHTTPリクエストやWebhookによるAPI連携
- JavaScriptまたはPythonで処理を書けるCode node
- OpenAI、Anthropic、GoogleなどのLLMプロバイダーと接続するAIエージェント・チェーン・メモリ・ベクトルストア関連のノード
- MCP(Model Context Protocol)サーバーとの連携
- ワークフローの実行履歴の確認
ノーコードの画面操作を基本としながら、必要な箇所だけコードを書ける点が、n8nの特徴のひとつです。AI関連のノードは外部のLLMプロバイダーへ接続する仕組みのため、接続先サービスの利用料金は、n8nの料金とは別に発生する可能性があります(編集部注)。
料金と「実行回数」の考え方
課金単位は「ワークフローの実行」
n8nの料金は「実行(execution)」の回数が基準です。公式料金ページでは、1回の実行を「ワークフロー全体の1回の実行」と定義しており、ワークフロー内のステップ数や処理するデータ量にかかわらず1回と数えるとしています。
さらにドキュメントによると、上限にカウントされるのはトリガーやスケジュール、ポーリングによって自動的に始まった本番実行のみです。次のものはカウントされないと説明されています。
- 編集画面からの手動実行(テスト実行)
- サブワークフローの実行(親の実行のみカウント)
- エラーワークフローの実行
- 新しいデータが見つからなかったポーリング
- 不正な形式などにより、ワークフロー開始前に失敗・拒否されたWebhookリクエスト
有料プランの概要
2026年10月4日時点の公式料金ページ(年払いの表示)では、主なプランは次のとおりです。価格はユーロ建てで、「年払いの場合の月額」として表示されています。月払いを選んだ場合の価格は、この記事では確認範囲に含めていないため、公式ページで確認してください。
- Starter:月額20ユーロ(年払い)、月2,500実行、同時実行5件
- Pro:月額50ユーロ(年払い)、月10,000実行、同時実行は選択する段階に応じて20件または50件
- Business:月額667ユーロ(年払い)、月40,000実行。2026年10月4日時点では自己ホスト版のみ提供
- Enterprise:要問い合わせ(クラウド版・自己ホスト版)
クラウド版では、同時実行の上限を超えた本番実行はキューに入って順番に処理されるとドキュメントで説明されています。また、保存される実行履歴にも上限があり、料金ページではStarterが7日間、Proが30日間の保持期間とされています。
無料トライアルと自己ホスト版
クラウド版には無料トライアルがあります。公式ドキュメントによると期間は14日間で、Proプランの機能を試せる一方、実行数は1,000回まで、処理能力はStarterプラン相当です。公式料金ページには同時実行5件、実行タイムアウト180秒、1プロジェクトという条件も記載されています。トライアルは恒久的な無料プランではなく、アップグレードしない場合は期限後にワークスペースが削除されます(期限後90日間はワークフローのダウンロードが可能とされています)。
一方、自己ホスト版には、ライセンスキーなしで動作する無料のCommunity editionがあります。編集部の注記として、自己ホスト版ではサーバーの用意、更新、バックアップ、セキュリティ対策を利用者側で行う必要があります。また、ドキュメントではCommunity editionでは利用できない機能として、プロジェクト、SSO(SAML/LDAP)、ワークフローや認証情報の共有、Gitによるバージョン管理、環境の分離、外部シークレット管理などが挙げられています。
商用利用で確認したい制限
業務で使う前に、次の点は一次情報で確認しておくことをおすすめします。
- ライセンス:n8nの公式リポジトリのソースコードは「Sustainable Use License」で提供されています(ファイル名やディレクトリ名に「.ee」を含むファイルは別のEnterprise Licenseの対象)。ライセンス文では、利用者自身の社内業務目的、または非商用・個人での利用や改変を認める一方、ソフトウェアの配布や他者への提供は、非商用目的かつ無償の場合に限るとしています。n8nを組み込んだサービスを顧客に提供するなど、社内利用の範囲を超える場合は、ライセンス条項を確認し、必要に応じてn8n社へ問い合わせてください。
- クラウド版のCode node:公式ドキュメントによると、クラウド版ではJavaScriptで使えるモジュールが一部(cryptoとmoment)に限られ、Pythonでは標準ライブラリを含むライブラリのインポートができません。ライブラリのインポートが必要な処理は、自己ホスト版での設定が前提になります。
- データの保存場所:公式料金ページでは、クラウド版のデータはドイツ・フランクフルトのEU域内サーバーに保存されると説明されています。社内規程で保存地域に条件がある場合は確認が必要です。
- サポート:StarterとProはフォーラム(コミュニティ)でのサポートで、SLA付きの専任サポートはEnterpriseプランとされています。
日本語での利用について
ここでは「画面(UI)の表示言語」と「扱うデータの言語」を分けて考えます。
UIについては、公式ドキュメントに自己ホスト版でUI言語を設定する環境変数(N8N_DEFAULT_LOCALE)があり、未翻訳の文字列は英語で表示されると説明されています。ただし、今回確認した公式リポジトリの翻訳ファイルのディレクトリでは英語のファイルしか確認できず、日本語UIが公式に提供されているかは確認できませんでした。基本的には英語の画面で操作する前提で考えるのが無難です。
入出力については、n8nはテキストをデータとして受け渡す仕組みのため、日本語のメール本文やスプレッドシートの値を扱うワークフローを組むこと自体は可能と考えられます。ただし、日本語の要約や分類の品質は、接続するAIサービスや外部サービス側に依存します。この点は編集部の見解であり、実機での検証は行っていません。
向いている用途・向いていない用途
以下は、公式情報で確認した仕様にもとづく編集部の見立てです。
向いていると考えられるケースは次のとおりです。
- 1回の処理でステップ数が多いワークフロー(クラウド版などの有料プランは実行単位の課金のため、ステップ数が料金に直結しにくい)
- APIやWebhookを使った連携や、一部をコードで処理したいケース
- 社内規程などの理由で自社環境に置きたいケース(自己ホスト版)
- AIエージェントやLLMを業務フローに組み込みたいケース
向いていない可能性があるケースは次のとおりです。
- 英語の画面や技術用語に抵抗があり、日本語UIを必須とするケース
- サーバー運用の体制がないまま、自己ホスト版を本番運用したいケース
- n8nを組み込んだサービスを第三者に提供したいが、ライセンス条件を確認できていないケース
ワークフロー例(説明用・未検証)
以下は仕組みを説明するための例であり、編集部が実際に構築・動作確認したものではありません。
問い合わせフォームの内容をWebhookで受け取り、AIノードで内容を分類したうえで、担当チームのチャットに通知し、スプレッドシートに記録する流れを考えます。
- Webhookトリガー:フォーム送信時にデータを受け取る
- AIノード:問い合わせ内容を「見積もり」「サポート」「その他」に分類する(外部LLMのAPIキーが必要)
- 条件分岐ノード:分類結果に応じて通知先を分ける
- チャットツールのノード:担当チームに通知する
- スプレッドシートのノード:受付内容を記録する
公式の定義に従えば、この流れは複数のステップを含んでいても、本番で1回動けば1実行と数えられます。編集中のテスト実行は上限にカウントされません。一方、AIノードの接続先サービスの利用料は別途かかる可能性があります。
Make・Zapierとの選び方
3つのツールは課金単位の考え方が異なります。各社の公式料金ページによると、n8nはワークフロー全体の実行回数、Makeはシナリオ内のモジュールのアクションごとに消費する「クレジット」(多くのアクションは1クレジット)、Zapierは成功したステップごとに数える「タスク」が基準です(Zapierではトリガーはタスクに数えないとされています)。
選ぶ際は、次の観点で比較するとよいでしょう。
- 1回の処理あたりのステップ数と、月間の実行回数の見込み
- 自社環境に置く必要があるか(自己ホスト版の要否)
- コードやAPIを直接扱う必要があるか
- 日本語UIの必要性
- 必要な連携先が各ツールで用意されているか
どのツールが安くなるかは、ワークフローの構成と実行回数によって変わります。実際の利用量を見積もってから、各社の最新の料金ページで比較してください。各ツールの概要はn8n、Make、Zapierの紹介ページでも確認できます。
よくある質問
n8nは無料で使えますか?
クラウド版には14日間の無料トライアルがありますが、恒久的な無料プランではありません。自己ホスト版のCommunity editionは無料で利用できますが、サーバー費用や運用の手間は別途かかり、ライセンス条件の範囲内での利用となります。
テスト実行も実行回数に含まれますか?
公式ドキュメントによると、編集画面からの手動実行は上限にカウントされません。カウントされるのは、トリガーなどで自動的に始まった本番実行です。
日本語で使えますか?
日本語のテキストを扱うワークフローは組めると考えられますが、今回の確認では日本語UIの公式提供は確認できませんでした。画面は英語で操作する前提で検討してください。
確認日と出典
この記事の情報は、2026年10月4日(UTC)に以下の公式ページで確認しました。料金や仕様は変更される可能性があるため、利用前に最新の情報を確認してください。
- n8n 公式料金ページ
- n8n Docs:実行(executions)の仕組み
- n8n Docs:クラウド版の無料トライアル
- n8n Docs:クラウド版の同時実行
- n8n Docs:自己ホスト版
- n8n Docs:Community editionの機能
- n8n Docs:Webhook node
- n8n Docs:HTTP Request node
- n8n Docs:Code node
- n8n Docs:AIの統合
- n8n Docs:タイムゾーンとローカライズ
- n8n 公式リポジトリのライセンス(Sustainable Use License)
- n8n 公式リポジトリの翻訳ファイル
- Make 公式料金ページ
- Zapier 公式料金ページ
