
画面は撮影時点の公式ページです。記事公開時の画面とは異なる場合があります。画像を選択すると拡大表示できます。
中国のAI企業SenseTime(商湯科技)は2026年11月2日、AIモデル「SenseNova 6.8 Flash」の正式版を公開しました。資料作りなどの事務作業とデザイン制作を、AIエージェントとして進める力を強めたモデルです。会話をまたいで依頼の内容を覚えておく長期記憶と、アニメーション付きのスライドや3Dの制作などの機能が特徴です。
会話をまたいで仕事を続けられる
SenseNova 6.8 Flashは、長期記憶と、AIの側から声をかける機能を備えています。SenseTimeは、次のような使い方ができると説明しています。
- ユーザーの目標や条件を覚えておき、別の会話や別の作業でもそれを踏まえて手伝う
- 前の作業で記録した内容と新しい情報を結びつける
- 関係する情報が変わったときに、影響を受けそうな作業に気づき、直し方を提案する
SenseTimeによると、長いやり取りの中で事実を思い出せるか、指示を守れるか、食い違う情報を整理できるか、好みや目標を覚えていられるかを、評価で確かめたとしています。
デザイン制作の機能
デザインの面では、作れるものの種類を広げています。
- アニメーション付きのスライド。話の流れに合わせて、動きの順番やタイミングまで組み立てる
- 文字と画像の動きを合わせたアニメーション付きのポスター
- シンプルなブランドサイト風、ビジュアル重視のクリエイティブなもの、テック製品風など、さまざまな雰囲気のWebページ
- 拡大しても粗くならない図(SVG)と、そのアニメーション
- Webブラウザーで動く3Dの表現(Three.js)
- 3D制作ソフトBlenderを使った3Dの制作。エージェントとして何度も直しながら仕上げ、編集できるファイルで出力する
デザインツールのFigmaなどともつなげられ、デザイナーがふだん使っている作業の流れの中でAIを使えるとしています。
使える場所と性能
SenseNova 6.8 Flashは、公開した日から次の場所で試せます。
- SenseTimeのAIアシスタント「小浣熊(Raccoon)」。2026年12月1日まで、このモデルを無料で使える
- Web上の「SenseNova Studio」。デザインの試験版でデザイン機能を試せる
- 開発者向けの「SenseNova Token Plan」で、APIとしても使える
SenseTimeは、エージェントとしての共同作業、データ分析、プレゼン資料の作成などで、一部の海外の最先端モデルを上回ったとしています。公式ページのグラフでは6つの評価の点数を示していて、チームでの作業を測るTeamBenchとデータ分析の評価では、比べたモデルの中で最も高い点数でした。一方、作業の自動化を測るAutomationBenchなど残りの4つでは、AnthropicのClaude OpusやOpenAIのGPTのモデルの方が高い点数でした。データ分析とスライド作成の2つの評価は、SenseTimeが社内で作ったものです。
オフィス向けの作業をまとめたスキル集「SenseNova Skills」も、MITライセンスでGitHubに公開されています。10月末には、同じ層をくり返し使う「ループ型」の仕組みを取り入れたモデル「SenseNova-Loop-9B-Preview」も、Apache 2.0ライセンスでHugging Faceに公開しました。パラメータ数は約90億で、同じ層をくり返し使うため、計算の量は約146億パラメータのモデルに相当します。
CoAI編集部の視点
中国のAIモデルというとDeepSeek、Qwen、Kimiなどが話題になりがちですが、SenseTimeは顔認識などの画像認識で知られてきた会社で、今は大規模言語モデル「日日新(SenseNova)」にも力を入れています。今回の6.8 Flashは、性能の高さよりも、資料やデザインを仕上げるところまで手伝う実用面を前に出しているのが特徴です。会話をまたぐ記憶は、ChatGPTやGeminiなども力を入れている分野で、各社が「続けて仕事を任せられるAI」を目指していることがわかります。
一方で、性能の数値はSenseTime自身の発表で、一部は社内で作った評価です。主なサービスは中国向けで、日本から使う場合は、使える地域や料金、データの扱いを事前に確かめておきましょう。